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【2010年3月号】迷走続く鳩山内閣、秒読みに入ったその運命

政権交 代の期待の中で成立した鳩山内閣。本欄で何度も指摘したように、自民党長期政権の中で溜った垢や膿の清浄化を大いに期待されていた。確かに、非小沢派とも いえる閣僚たちの果たしている役割を評価できる面はある。しかし、何といっても「政治とカネ」でトップ2人が果たしている役割は、新政権の幻滅を物語って 十分である。小沢不起訴後のほとんどすべてのマスコミの世論調査で、小沢に対して「幹事長・議員辞職」を望む声が7割を超えた。鳩山内閣の支持率も5割以 下から4割をわずかに上回る領域に達し、不支持が支持を上回った。恐らく支持率は2月中には3割台に達すると思われる。民主党支持率も低下傾向にある。そ れでも今のところかろうじて4割台を確保しているのは、折角の期待を没にするのに世論が躊躇しているからであって、しばらくの様子見にすぎないといえる。 実際、ガソリンの暫定税率廃止をやめ、また官僚主導の排除については郵政のトップへの高級官僚の復活、天下り禁止の不徹底や官僚制御の不手際、さらにはム ダ排除によって7兆円をはじき出して子供手当などを易々と支出すると言っておきながらわずか6千億しか達成できず、子供手当支出困難が閣内から出たり鳩山 首相自身から動揺的発言が出たりし、高速道路無料化実施についても先行きが危ぶまれるなど、すでにマニフェストの主要部分の破たんが顕著になってきた。加 えて、普天間基地移設問題で、度重なる鳩山首相の揺らぎ発言で日米関係に不安がよぎるなど、国民的な不信感が募ってきた。その他、景気対策・長期経済戦略 確立の遅れと不明確など、政府不信がつのってきている。

もともと、民主党は政党としての基本綱領を持たない珍しい寄り合い所帯であり、野党時代から安全保障問題の議論をすると党が分裂するとまで言われて棚上 げにしてきた。野党時代には与党の政策反対でかろうじて党がまとまってきたため、マニフェストも「良いことずくめ」で作ってきたきらいがあり、実現性につ いての真剣な吟味がおろそかにされてきたことが今露呈しているといってよい。おまけに、閣僚も党幹部もバラバラ発言で、それにまして鳩山首相のくるくるそ の場限りで変わる発言で指導力を喪失してきた。鳩山の母親からの月1500万円―15億にも上る資金提供を「知らなかった」で脱税を済まそうとする破廉恥 きわまりない罪悪感の欠如に国民の不信感は限界に達している。小沢といい、鳩山といい、多くの幹部が自民党田中―金丸の金権派閥の流れを汲むので「政治と カネ」問題での党内浄化発言は極めて弱い。それに胡坐をかいているきらいがある。今のところ、自民党のもたつきもあるが、いずれ新党結成なり再編による野 党体制の確立の時期がくる。民主党自体もボケたままでは済まされまい。鳩山内閣の終焉は近づいている。(伴)


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