(公社)国際経済労働研究所 所長 本山 美彦
2025 年9月 22 日で、「プラザ合意」後 40 年になる。1985 年の当日、主要5か国の中央銀行総裁と財務関係大臣たちが、きらびやかな「プラザホテル」に集まった。しかし、会合は、わずか数十分で終わった。すべてが米国のレーガン大統領の一存で決められていたのである。
合意とは、膨大な貿易赤字の原因を日本になすりつけるものであった。レーガンは、日本の対ドルでの円安と日本政府による輸出の後押しに、米国貿易赤字のすべての要因があると、各国政府に円高・ドル安誘導を呼び掛けたのである。
そして、日本の大蔵省と日銀に圧力をかけて、日本国内に莫大な通貨(円)増を実現させた。
その結果は、あまりにも劇的なものであった。対ドルで円は、1985 年の 240 円から、わずか 1 年後の 86 年には 150 円になった。通貨増のお陰で、日本の国内市場は未曽有の拡大ぶりを見せた。
それが、1990 年代初期のバブル崩壊、金融機関のあいつぐ倒産をもたらしたのである。 都市銀行数は、1980 年代の 13 行から、2000 年代には、5行に減少した。
そして今、円の対ドル相場は 150 円台である。そして、トランプは、法外な関税で日本を再度ゆすぶっている。
1971 年 8 月 15 日には、ドルの金兌換停止によって、世界は固定相場ではなくなり、日本はアジアに逃げ道を求めた。その結果が、生産拠点の海外流出である。
ちなみにドナルド・トランプは「プラザホテル」を投機的に売買して大儲けをした。
日本の新首相への期待は大きい。せめて、米国の言いなりにならない日本を作っていただきたい。
2025.11