(公社)国際経済労働研究所 会長 古賀 伸明
今年、法政大学大学院・社会連帯インスティテュート(連合大学院)が開設 10 周年を迎えた。心よりお慶び申し上げる。
去る 10 月には、「連帯社会の中身を豊かにする」をテーマに、開設 10 周年記念シンポジウムが開催された。「労働組合プログラム、協同組合プログラム、NPOプログラム、それぞれの教員からの提起」、「連帯社会構築に向けて取り組むべきこと」、そして「連合大学院に期待すること」など、外部の識者も交えて盛りだくさんのディスカッションが行われたと聞く。極めて残念だったが、どうしても外せぬ予定があり、参加が叶わなかった。
月日が経つのは本当に早いものだ。10 年前の2015 年 2 月、法政大学・市ケ谷キャンパスでの「連合大学院・開設の集い」で、連合会長としてご挨拶したことが、つい先日のようで、10 年の月日を感慨深く思い出している。
連合大学院設立の発端は、2009 年の連合・定期大会で報告された「連合結成20周年にあたっての提言」にさかのぼる。これまでの運動を振り返り、さらなる飛躍に向けて、5つの課題に取り組むことが提言された。
その一つであった「労働教育の推進と組合リーダーの育成」の具体化として構想したのが、連合大学院だ。実は連合結成当時から「連合大学」構想が提起されていた。その一部は「Rengoアカデミー」として具現化したが、自前の学校づくりはなかなか進まなかった。
私たちは、国際秩序の動揺、成熟社会、超少子高齢・人口減少社会の進展をはじめ、さまざまな政策課題に直面している。そうした中で、人々が支え合う連帯社会を再構築するために、公益を追求する組織として労働組合や労働金庫・こくみん共済 coop という労働福祉団体、協同組合、NPO・NGO、社会的企業などの活動を見直し、連携していかなければならない。
そのような認識に立ち、連合・労働金庫・こくみん共済 coop・生活協同組合・中央労福協など多くの組織・団体の皆さんと、この事業の意義に賛同いただいた法政大学の先生方にご助言をいただきながら、検討を積み重ねた。そして、2015 年、法政大学大学院の中に社会人の受講を想定し、夜間開講と土曜日の昼間開講を組み合わせる「連帯社会インスティテュート・通称連合大学院」が開講された。
こうしたさまざまな組織と大学が密接に連携し、一つの研究・教育機関を設立するのは、わが国初めての試みであった。また、連合大学院と密接に連携し、その活動をバックアップしつつ、広く第三セクターの交流するコミュニティをめざして、「連帯社会研究交流センター」も設立された。
連合大学院は、そうした公共を担う政策立案・推進能力を持った創造的人材の育成、そして日本の新しい地域社会や国づくりに貢献する「新しい公共」を担う労働運動や社会運動の担い手、次世代の社会的リーダーを養成する目的で開設した。
この 10 年の道のりは、多くの課題の連続であったことと思う。その困難を乗り越え今日を築いてこられた、法政大学の関係者の皆様、運営を担っていただいた先生方、そして様々な形でご支援いただいた皆様に、心より敬意を表す。
既に連合大学院での修士号取得者は 85 名になった。今、不安定さと分断を乗り越え、社会全体がともに助け合い支え合うという人間の本質に立脚した連帯社会の再構築が求められている。体系的に学んだ知識と自らの経験を踏まえて、これからの社会を構想し、ともに学んだ仲間とともに市民一人ひとりをつないでいく原動力になって欲しい。
対話を通じて持続可能な社会づくりへ向けての社会運動の担い手としての益々のご活躍を祈念する。そして、連合大学院のこれから 20 周年、30 周年に向けての発展を心よりお祈り申し上げる。
早いもので、今年も残り少なくなりました。この1年間の皆さんのさまざまな課題解決に向けた取り組みに、心より敬意を表しますとともに、健やかに新年を迎えられることをお祈りいたします。
2025.12