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【2009年4月号】真の意味での金権政治の打破こそが問題

小沢代表公設第1秘書の逮捕で民主党が大揺れしている。3月5日の小沢代表の会見も民主党執行部の態度も奇妙である。それは、政権転換の可能性も予測さ れる総選挙を間近に控えた時期での野党第1党党首の公設第1秘書逮捕という重大事案を、検察特捜が確たる証拠も綿密な準備もなく行動に移せる筈はないとい う一般的な常識とは、かけ離れたものだったからである。小沢氏当人が、政治献金の事務的処理に誤りはないというのはよいとして、検察の行動の政治的意図の 可能性や国策逮捕を指摘するのは、国民一般の常識からは首肯できないし、かりに事務処理に誤りがなくとも検察からの疑惑について、国民に対して「世間を騒 がせたこと」への一定の陳謝が表明されてしかるべきだ。また、鳩山幹事長は一貫して「政治的においがする」と批判し、これが民主党の執行部を代表する意見 と受け取られている。かりにも彼らが素直にそのように考えているならば、民主党が政権を担当した場合にも、検察は容易にこの種の国策的・政治的捜査をする 可能性を示唆しているといってよい。一般的に我々も平素、検察を批判することは大いにあるが、過去何10年にわたってわが国の政界を毒してきた政治献金疑 惑について、自らが疑惑の対象となった場合に、抗弁することは当然の権利であるとしても、それを謙虚に受け止めて自らを省みることなく、ただちに国策捜査 や政治的背景あるものとして非難する態度は、いかにも傲慢不遜である。

その証拠に、その後、民主党内にも異論があることが明るみに出て、さらに9日以降マスコミ各社世論調査が発表されたが、例えば共同通信によると、小沢代 表の会見に対して「説明は納得できなかった」78.4%、「代表を辞めた方がよい」61.6%という高い数値が示されており、その他の新聞各社の調査でも 代表辞任を勧める回答者はいずれも過半数を超えた結果、小沢代表も民主党執行部も、これらの調査結果を受けて、国民に対してようやく陳謝し、検察の政治的 意図についても撤回はないがややトーンダウンしてきた。

田中金脈・金丸金脈による逮捕事件があったが、小沢氏はこれを知り尽くしており、これまでも何度か政治資金処理の疑惑も週刊誌などで取り上げられたこと もあったものの、自民党を離れて、小選挙区制、政治資金規正法の改革などで努力が見られ、政党交付金などの制度もできた。しかし、例え事務処理上は法的に 整えても、ゼネコンなどとの癒着構造は克服されず、今回はそこが再び問題になっているとみられる。民主党小沢執行部は、旧自民党田中派と旧社会党グループ 主導の色が濃く、小沢代表の政権奪取の選挙戦術も旧田中派のそれを想起させ、55年体制の復活さえ想起させる。新しい政権を担うなら知的・道徳的ヘゲモ ニーとして真の意味での金権政治の克服を確立すべきであろう。(伴)


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