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【2006年4月号】民主党よ、何処へ行く―相互批判なき組織は退廃する―

民主党の永田議員によるメール問題ほど、この党の弱さをさらけ出したものはない。何とか早く収めてしまいたいという執行部のあせりが強まるほど党として格 好がつかなくなり、国民からの不信が高まったというべきであろう。この号が発行される頃、永田は議員辞職しているだろうから、取り上げなくてもよいかとも 思うが、やはりどうしても指摘しておかざるを得ないものである。

まず何といっても、お粗末さは永田本人にある。少しでも大人の世界で交渉事に関わったり、政治とカネの問題について洞察力があるなら、あのようなメール が秘密を持つ材料かどうかは一目して判る。昔から、永田町周辺では、胡散臭い情報屋が情報をカネに変えようと毎日のように暗躍しているのもよく知られてい る。どの議員を通じてやらせればカネになるかといった企みもある。もとより真実の情報も中にはあるが、カネを目当てに来るのはガセネタとみて間違いない。 根拠を示すと啖呵を切っておいて出来なかったときに永田は破綻を自覚できたはずであるのに抗弁を続け、党首の前原もその後も明確な証拠があるかの如き発言 をしていた事は言語道断である。しかも、証拠もなく平気で公の場で他人を傷つけ、証拠がない事が歴然としているのに直ちに謝罪しない態度は、学校で頻発す る「いじめ」に酷似している。この傾向は、原理的に政策論争を挑まないで、選挙の大敗北をスキャンダル暴露で挽回しようとした民主党の風潮の表れといえ る。愛知の麻薬議員といい、大阪の破廉恥弁護士といい、この種の事件が頻発するのは、議員間の相互批判という緊張感の欠如が背景にある。お互いに知ってい るはずの事に自浄作用が働いていない。永田の場合も、あれだけ根拠もなく他人の名誉を傷つけながらその反省や謝罪よりも自己防衛を優先させる。しかも、そ れを批判するよりも病院に入れて隠そうとする。それをすすめた鳩山も、自民の幹部に何か汚職めいたものがあると断言しておいて、何の証拠も示していない。 うやむやのままである。いつもTVにタレントまがいで出てくる議員も自己弁護に終始し、他人事の様で厳しさがない。このような傾向は、エリート公務員の自 己愛と他人を傷つける事が平気という国民を見下す目線にあることを示す。

民主党は1度の選挙結果で、次は政権交代と過信してダッチロール化し、その自覚と反省と相互批判を見失って国民の信頼を失った。議員候補の選抜にも杜撰 さが目立つ。国家公務員エリートなどに傾斜しすぎて、社会体験の不足と倫理的幼稚さが目立つ。渡部国対委員長がようやく永田の自発的議員辞職を促して、党 内にもその意見が拡大した。しかし、執行部はその責任において処理する事を回避し、国会の懲罰委員会任せにしようとした。責任回避である。この種の事が克 服できなければ、次の党首選挙をめぐってまた対立と混迷が訪れるであろう。今、民主党に必要なことは庶民の常識の目線といえる。(伴)


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