本サイトへ戻る
カテゴリー一覧

【2012年2月号】揺れる野田首相に決意と行動を問う

野田改造内閣が発足した。あまり積極的意味が見えない。 何故なら、もともと一川・山岡という参議院問責両閣僚を更 迭しないと野党が審議に応じないからである。これは従来自 民与党時代には問責=更迭が慣例であったものを民主与党 になってから誤魔化そうとしてきたわけで、これだけでも野田 内閣は本来の議会民主化のためには逆行である。

ただ、今回の野田首相の行動を見ていると、挙党一致とい う見せかけのために小沢系の人物を閣僚に入れ、どうせ問 責は出る閣僚なのでそれはしょうがない、適宜差し替えれば 良いというのが見え見えで、差し替えた後でよりましな閣僚を 入れればそれでもよい、というのが本音とみられる。今度は将 来の事を考えれば今入閣するのが適切かどうかで迷う岡田 幹事長を副首相に呼び込み、松原拉致対策担当・小川法 相を閣僚として、本来望む強力布陣としたかもしれない。同 時に業績でもあまり芳しくない噂のある蓮舫など閣僚を交代 させ、後の入閣は平野文科相にしても防衛の田中にしても 派閥均衡・数合わせの組閣である。ところが名前を見た途 端、おそらく何か問題を起こすと考えられていた田中防衛相 が即日問題を起こした。前職と同様に中学生でも分かる、最 も微妙な沖縄県民の感情を逆なでするような食言でチョンボ である。議会開会直後から、問責騒動になるだろう。

野田首相と云うのは、以前から脇がやや甘く融和的である ものの、しかし思うところは貫くだろうとみられてきたが、今のとこ ろそれは5分5分なようである。それは、今回の組閣にも表れて いる。岡田入閣は本命だが、依然として財務省サイドで消費税 基軸であり、さらに派閥バランスでつまらぬ人事で味噌をつけ るといった傾向が続いている。周りからみているとどれが本音 なのか分からない。もっと積極的に向かう方向を明示しないと ナアナアで行けるほど時間はない。それにもかかわらず、与党 だけで消費税を衆院可決して、参院に責任を持たせて野党 を追いこむなどと心にもないブラフをぶちあげたりしている。

そもそも消費税は有力なエコノミストがこぞって批判するよ うに、このようなデフレ続きのままでは破綻するし、国民負担 の軽減をもっと先行させねば通らない。ようやく岡田が入っ て、議員報酬のカットを本気で取り組み始めた。公務員給与 カットも議員定数削減も依然から掲げてはいるが、どの内閣も 本気でなかったので進んでいない。これらを優先加速して実 現すること。その上で初めて消費税アップの世論的条件が 出来るはずである。自民・公明も消費税そのものに反対はし ていないので、民主党が率先して条件づくりに実行力を発 揮すれば可能であろう。それなしで消費税を上げるという姑 息な発想こそ財務省の陰謀である。消費税アップによる財 政安定化といっても、それには経済政策と財政運営全体に 関わるグランドデザインの明示と国民との契約が必要である。

ギリシャ問題やE U問題を「他山の石」と首相も言うが、 それが行動に表れていないし、内閣にその凛とした決意が ない。だから小沢派などがウロウロとわけのわからぬ行動を 起こす。先月の当欄で述べたように、この先は見えている。 今は野田首相と内閣がどれほど本気で行動するかにかかっ ており、世界はそれを注視している。(伴)  


地球儀 の他の最新記事