本サイトへ戻る
カテゴリー一覧

【2018年3月号】オリンピック機会に様子見に転じた北朝鮮

冬季オリンピック平昌大会を機に、これまで核実験を続けたり、軍事挑発を重ねてきた北朝鮮が、派手な赤いユニ フォームに身を固めた美女軍団による応援団を送ったり、さ らに微笑み外交的な秋波を送ったりし始めた。いつものこと とはいえ、かなり派手なデモンストレーションである。美女軍団 の女性たちはただ一言「お会いできて嬉しいです」としか語らない。もとより、言語は共通なので、他の会話もできるはずだが、この言葉以外は一言もしゃべってはいけないと規制さ れているようである。また、ソウルで管弦楽団の演奏会を開 いたり、派手なパフォーマンスを行った。

この背景にはすでに何度も経験があるが、韓国人の間にこれに対する対応ムードがあるし、特に韓国の新大統領「文在寅」氏が朝鮮北部の出身で、かなり北朝鮮に対する歓迎 ムードを表明していることとも関係しているし、韓国の男性の中に美女軍団に対する関心と歓迎ムードがあることも影響しているといえよう。むしろ、核実験を通じて核保有を示唆する北朝鮮に対抗して国連加盟国が強硬な経済封鎖を実施しているために北朝鮮が相当まいっており、その打開策として微笑作戦に転じたともいえる。文大統領は少し調子に乗って北側に応じる可能性もあり、米日を裏切る結果を招きそうな危惧もある。戦後最大の軍事的緊張感が北東アジア全体を覆っている中で、その一方の当事者である韓国が先走って封鎖を解くことに一役買うなどということは本来あり得ないことと言える。

もとより分断国家朝鮮半島の両国民にとって、統一国家への欲求は強く、折に触れて政治課題として浮上する。その課題は重要であるが、「核保有の朝鮮半島」は何人にも 許されるものではない。

しかし、今危惧されているのは、韓国民の心情を含めて文大統領が、北側の誘惑ともいえる国連安保理決議にさえ違反して「朝鮮半島における核保有」を仮にも容認する可能性であり、文大統領が単に「北」との有効に止まらず「北」に追随することであろう。「ポスト平昌オリンピック」の課題はここ にある。
(会長・板東 慧)


地球儀 の他の最新記事