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【2008年4月号】おかしくなってきた毒餃子問題

中国毒餃子問題は、遂に胡錦濤主席来日の延期問題にまで波及してきた。やはり一大事である。日本の捜査当局から、注入されていた可能性のある殺虫剤メタ ミドホスの型が日本製でないことを含む物的証拠を添えられて、日本でのメタミドホスの注入はもとより外部付着の可能性も極めて低く、餃子の製造工程で注入 された可能性を否定できないと伝えられたことについて、中国公安省は記者会見で、外部から付着した薬品が袋内部に浸透する可能性があるとのべ、物証提供に ついての日本側の態度に深い遺憾の意を表明した。これに対して2月20日、警察庁の吉村長官は、「容疑者を特定、立件する上で公安省から要請があれば提供 することにやぶさかでない」として、「餃子や袋の提供の申し出があったが、証拠物は刑事訴訟法に基づき押収手続きをとっており、軽々に渡せない」と中国の 態度を「看過できない」としている。中国側は、天洋食品など、「中国内で混入された可能性は極めて低い」としながら、「日本で混入したとはいっていない。 そう結論するのは時期尚早で、徹底的に調べて結果がハッキリするのをまたなければならない」として慎重姿勢である。日本側からすれば、すべての客観的証拠 をあげて、日本国内での混入の可能性がなく、中国内での可能性は捨てきれないとしているのに、その実態は手詰まりというところではないか。そして、残留農 薬がこの問題を引き起こしたとすれば、オリンピックを控えて、中国食品への不信はとめどなく、これを何とか「人為的な事件」としたいのであるが、日本に押 し付けるわけにいかないことは、日本の徹底した捜査によって結論が出ているので困ったというところ。

一方で、オリンピックを目指して徹底して残留農薬や工場周辺の不審な薬剤撤去に努力し、最近も取り締まり強化してきたのに、今回の問題がでてきたのであ る。たとえば、メタミドホスは、昨年8月までは店頭にあり、11月でも売っていたという。1瓶300ミリが4元で他の殺虫剤より安く、殺虫効果が高く、水 で薄め易いので、よく売れていたという。中国政府は昨年1月、これを含む5種の農薬の販売禁止に踏み切ったが、反対も多かったようだ。厳しい取締まりにも かかわらず、河北省農業庁は禁止農薬20.53トンを押収し、焼却している。毒入り餃子の製造は昨年10月のことである。近い時期までメタミドホスが餃子 工場の近くで流通していたのである。また、去る2月24日、湖北省高速道路で、メタミドホス5トンを積んだトラックが横転、半分が有毒ガスになったとメ ディアが報じている。2月上旬以降、河北省では特にメタミドホスへの取締まりが強化されたという(以上主に日本経済新聞最近号による)。胡錦濤主席来日に かこつけて、福田・小沢をはじめ中国には弱い政治家が多いので、真実のみを基本にいかなることがあっても理不尽な妥協はしないよう強調しておく。(伴)


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