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【2021年2月号】21世紀に入って特筆すべき世界の動向

20世紀から21世紀に入って特筆すべき世界の動向は何か。 それは20世紀に形成された世界秩序の骨格をめぐって特筆すべき変化が生じつつあることであろう。その第1はソ連邦社会主義体制が変質してソ連圏が解体したこと、第2にEUから英連邦が離脱(Brexit)してその相互関係に基本的変化が生じたこと、 第3に社会主義中国が独自路線を明確にしてきたこと、第4に世界の地域ブロック化が政治的にも経済的にも明確化し、地域ブ ロックレベルの活動がより際立ってきたこと、などがあげられる。た だ、それが今後どのような形態に発展していくかは未だ流動的であり、他方20世紀における主要潮流として形成された「世界が米ソ2大勢力によって分断あるいは対峙する」という傾向が希薄になりつつあることが指摘される。

地球上の国々は地域ブロック単位で地域経済の利害を基準に行動する傾向が強まると共に、新たな地球環境問題をめぐって様々な行動を起こす傾向を強めている。例えば、地球温暖化問題や新型コロナウィルス問題など、健康・病理・環境問題、災害問題・地域経済問題・マイノリティへの対応問題などをめぐる摩擦制御や社会的規範の確立をめぐる行動などに力を注ぐ傾向が強まっている。このことを通じて地球上における地域単位の規範の確立やそれらをめぐる行動の相互関係によって新たな諸関係が生まれ、その結果もたらされる影響が大きくなるであろう。

これらの背景には、第1に第2次大戦の結果成立した一種の世界非戦秩序の下で国家間・地域間の紛争処理システムが巧みに機能してきたこと、第2にその上で途上国が大きく発展して成長し、先進国との間でも対立することなく協調して対応してきていることがあり、第3に地球上で地域ブロック経済圏の形成が進んだことがあげられる。もとより、これを支える体制として国際連合という新たな世界システムが成立したことが特筆されるべきであ ろう。かくて21世紀は全く新たな世界秩序の下で迎えた世紀であり、されにこれらを基盤として宇宙開発を発展させる局面に発展したのである。

この意味において、人類は「地球レベルの行動」を超越して新たな活動局面を開発したことになり、それに対応する世界観ともいうべき哲学が求められているというべきであろう。 これにともなって当然科学の領域においても、生活の領域に おいても、さらに人生観や生き方においても、当然新たな地平を拓くことになり、そこに新たな生きざまを描くことになろう。 21世紀は、人類にとってこの新しい課題に直面し、新たな体験を集積し、あるいは困難にぶつかり、そしてその課題を切り拓いていく過程である。 この意味では、21世紀は従来を踏襲する課題というよりは地球上で取り組むべき全く新しい課題に直面しているといって過言ではないといえよう。  (会長・板東 慧)
 
 
 

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