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【2018年5/6月号】中国の新体制と問題

前号本稿では、集団主義体制から離脱して恒久の独裁 支配体制に移行した習近平体制について紹介したが、この 行動様式がどのように展開するのか、その問題点について 検討しておこう。

この体制は、習近平主席の独裁永久政権ということにな る。しかも社会主義体制の初めての出現であったスターリン 体制のソ連邦も元々実質はそうであったが建前上はそうで はなかった。だからこの習近平の新体制は注目される。

ところで習近平はこの体制を「社会主義現代強国・中華 民族の偉大な復興」と憲法で示している。中国は、1949年 「新民主主義」を唱えて革命を遂行したが、これは未だ資 本主義に到達していない段階での革命であった。その後、 大きく成長したが、その過程で文化大革命に発展し、その後 社会主義へ移行したとされる。その結果、生産力の発展とと もに、社会秩序も発展し、市場経済が導入されて成果をあ げてきた。今や習近平と副主席・王岐山のコンビによる終身 体制によって米国を超える大国への発展の道を歩み始め ている。その版図は、東シナ海から南シナ海へ、さらにシルク ロードによって欧州に至り、東北部を含む人口14億に達す る。経済的には鉄鋼生産は日本を超え、多くの産業で世界 トップに達し、第3次産業から新しい情報化についても世界 トップに迫る発展を遂げつつある。

しかし、細かく観察すると、成長は遂げたが、その内実は 未だ脆弱性は否定できず、大都市圏と農村地帯との経済 格差は大きい。国民内部の所得格差も大きく、国民生活の 保障システムも脆弱であり、特に国土が広大なため地域格 差やシステムの脆弱性に加えて、市場の発展も行政権力に よる支配が大きいという後進性は否定できない。地域におけ る民族格差や対立が内包されており、様々な対立が市場や 民主的機能によってコントロールされるよりも共産党一党支 配と軍事統制に依存している傾向が強く、そこに今後解決 すべき問題が多いのである。
(会長・板東 慧)


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