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【2016年2月号】依然として消えない中国経済の不安要因

新年1月号の本欄では、「中国経済の不安定要因が世界経済につきまとう」ことを指摘した。わが国の企業・官庁ともに、中国経済の元安追求運営によるショックがつきまとって先行き不安から解放されないことが問題とされる。中国は現在社会主義市場経済体制をとっているが、これは本来的に社会主義としての計画経済とは言えないもので、国有企業を軸としつつ、市場経済運営を採用しており、経済的困難が派生する時には政府が大幅に介入して国有経済を動かして修正するという体制であって、市場経済による運営を貫くことによって経済の自律的な運動にある程度まで任すことによって自由競争要因に基づく変動がプラスに働くメカニズムを機能させていない問題がある。

その経済メカニズムより国有企業を共産党の強力な統制によって動かすという、いわば経済外的強制によって動かす体制といえる。そこには、経済的自律性によって自己回復するよりも外的圧力によって動かすという一種の大きなひずみが生じているのである。そこには社会主義という計画経済ではなく、共産党独裁による国家資本主義体制ともいえる様相がある。しかも、1日1ドルという低消費水準人口が約1億人に達するという貧困を抱えており、もともと1949年の国家成立時に食料確保のための農民人口の確保のために農村戸籍と都市戸籍を厳格に規制して人口移動を制限してきたもので、それ自体が経済発展の足かせになる要因を抱えているのである。しかも工業技術水準の低さから、輸出振興のために元安政策を取らざるを得ないという問題を抱えている中で、高成長段階を迎えた中でも低水準の技術で製造業は過剰生産に陥る傾向がある。それが元安不況を招きその結果、国家=共産党の過剰な政策介入を招くわけで、その不何が海外にまき散らされ、最も近い我が国の不安現象を誘発するのである。今年もこの不安からは免れない。さらには、今年中には中国経済の崩壊という悪夢による海外経済の萎縮が懸念されるのである。中国は従来蓄積したマネーで拡張主義をとり、新機構としてアジアインフラ金融機関を立してG7を巻き込む57カ国の加盟を得て派手にスタートしたが、この先行きさえ不安を抱えているのである。
(会長・板東 慧)


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