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【2010年10月号】民主党・代表選挙の茶番劇と菅政権の行方

壮大な茶番劇・民主党代表選挙が終り、菅代表が圧勝した。しかし、国会議員の得票では僅差で、これが民主党の今後に陰を落とす。政権党の代表選挙を茶番劇といっては失礼かもしれないが、それは以下の理由による。まず、この代表選は定期的なものだから粛々と実施されればよいのに尾ひれがついて騒ぎ過ぎである。前首相鳩山が「党が分裂する」と出しゃばって両候補の間に割って入って「トロイカの復活」などと騒いだが、結果は何のプラス効果もなく、本人自身が「私は何だったのか」と自問するお粗末。しかも、鳩山・小沢は3カ月前に揃って役職を自ら退いて、鳩山は政治から引退、小沢は「一兵卒になる」と宣言したばかりだ。勘グルに、鳩山は政界復活のために陽動し、頼まれもしない「トロイカ復活」など自分を3人目に擬すことで復活を試みたように見え、小沢は、わずかの期間に一兵卒から大将復活を試みたとも思える。このような一般国民に理解しがたいスタートをきったことが茶番なのである。

幸い、これらに惑わされずに世論の圧力が党内世論を動かして菅の勝利になった。相当見苦しい選挙戦だったが、「選挙に強い」小沢神話は崩れた。しかし、小沢はまたも「一兵卒」宣言をし、表向きみんな「挙党一致」を叫んでいるが、マスコミも党内でも信じる者はほとんどいないようで、マスコミによると、小沢グループの「しこり」は相当大きく、「今に見ていろ」といった雰囲気が漂い、小沢の再「一兵卒」宣言も「前科あり」で誰も信用しないし、現実に菅内閣が議会運営や予算国会などで行き詰まれば小沢が何事かを起こすか、さもなくば分裂するか、ということが党内では公然に近いともいわれる。まずは菅の人事政策をお手並み拝見という状況にある。「挙党一致」などは空事で、鳩山が当初危惧したとおりの分裂含みである。規定通りの代表選挙で分裂含みというのは、そもそも分裂状況が底流にあることを意味する。小沢の選挙中の演説からみても、菅批判は他党からの批判以上のもので、分裂必至を思わせた。

もともと綱領もなく、安全保障や国家の在り方について大綱的一致を討論を経て明確にしていない政党が、十分な政権交代の準備もなく、政権についたために、野党的議論の横行によって相互批判のルールさえ確立出来ていない弱さが露呈した。マニフェストをめぐる菅と小沢の対立がそれを示す。だが、政権交代も今回の菅の勝利も積極的支持というより消去法的選択であったことは事実であり、菅政権は「幻」の挙党一致を追うりも、国民の期待に応える積極的政策を進めることによって政権の性格の明確化を世に問うべきであろう。鳩山・菅政権共に、この1年ほとんど国民の期待に応える政策を積極的に展開したとはいえないことに心すべきである。その先の政界再編成はほとんど不可避となっている。(伴)


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