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【2007年4月号】分かっていて改革出来ない議員全体の体質の責任―議員事務所費問題

松岡農相の架空とみられる光熱水費支出の追及をめぐって国会がゆれており、全く馬鹿げた話で、大切な時間と政治の浪費である。松岡もこれを守る安倍もおか しいし、低次元の話であるが、これを居丈高に追及する民主党の中井元大臣が全く同じ問題を隠していたことが明らかとなった。野党の松岡追及が頂点に達して 法的な告発にも及ぼうというまで、中井は明らかにしなかったが、既に松岡問題が最初に報じられた時、金額は松岡よりも少ないが、同類らしき中井が民主党に いる事は小沢の10億円に上る事務所費問題と共に新聞に報じられていたところである。自ら公にしたことで、民主党鳩山幹事長は松岡との違いを強調している が、中井が発表した時は「事務所の女性事務員の帳簿のつけ間違いらしく、数日以内に記者会見で明らかにする」と述べた。しかし、この追及の先鋒に立つ国民 新党の亀井代表代行は、「国民は与野党を問わず目くそ鼻くそを笑うとみる」といい、社民党福島党首も「政治資金規正法違反の問題は残る」と指摘しており (3月15日各紙朝刊)、民主党の矛先が鈍るのは目に見えている。自民の側が野党の松岡追及にやや受身に見えるのは、自民側が逆手をとって民主の中井など を攻め立てれば水掛け論で国会論議が延々と伸び、早く予算などの法案を通すことを妨げるのを慮ってのことであるのは見え見えである。

民主党小沢代表も10億円という巨額の事務所費を秘書等の宿舎だから合法だとして自ら公にしたが、これも松岡問題が騒がしくなってからの話で、予防線を 張ったに過ぎない。何故なら、仮に現行法制上政治資金でこの種の不動産を持ち得たとして、国民生活の常識からみれば高額過ぎて、いわば収益事業としても高 収益を上げるに足る不動産の所有あるいは運用に値するからである。

このように見ると、いかに違いを強調しても、松岡・中井・小沢は同工異曲であり、法的には「内容の詳細の公表を義務づけない」現行の議員に関わる法制の 不備にあり、そんなことは早晩分かっているのに今まで改革に手をつけていない議員全体の責任は免れない。この種の問題は、地方議員を含めて、議会日当・出 張旅費・海外視察費・議員宿舎など、実質的費用以上の特権的所得や不合理とみられる待遇そのものや脱税相当の特権に問題があり、それに日常的にメスを入れ ないで、事が起こったら格好よく誰かを告発して済ますというわが国の議員体質そのものが限界にきていることを示すものといえる。(伴)


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