本サイトへ戻る
カテゴリー一覧

【2021年4月号】 懸念される中国の海警法と近年の対外行動

近年、沖縄周辺への国境侵犯の可能性を含む中国による海上行動が頻繁になっており、わが国漁船を含む民間海上活動などに脅威を与えていることが報じられている。従来から台湾海峡周辺での中国の軍事活動は周辺の海上活動への懸念となってきたが、最近それが国境侵犯や民間海上行動での危険性を伴う可能性として注目されている。この為、3月に入って、米国バイデン政権発足後初めての日米とオーストラリア・インドの4カ国首脳協議がこれをテーマに開かれていたのに続いて、日米の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれ、これまでの国際秩序を乱す中国の動きに強い懸念を表明する共同文書をまとめ、「自由に開かれたインド太平洋に向けた結束」をアピールする形となった。

中国は、沿岸城を管理する海警局を規定する法律―海警法によってこれを準軍事組織として位置づけ、これに対応する活動を台湾海峡周辺で展開しており、近年その活動が特に激しくなってきたといわれている。日米両政府はこれに対して、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認し連携を申し合わせてきたのであるが、今回は中国海警法に対する「深刻な懸念」を表明することとなったのである。

日米両国はこの趣旨にもとづいて、尖閣諸島に関して、「日本の施政を損なおうとする如何なる一方的な行動にも引き続き反対する」とし、米軍の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適応範囲に尖閣諸島が含まれることを改めて確認している。そして中国の行動が「既存の国際秩序と合致しない」と表現し、「ルールに基づく国際体制を損なう、地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対する」と明記したところである。このような中国の行動に対して日米共同で対処するための日常的な規制行動について共同行動のための訓練や抑止力を高める方策をめぐって今後積極的な行動がすすめられるものとみられる。 (会長・板東 慧)  
 
 

地球儀 の他の最新記事