機関誌Int

lecowk

Int'lecowk 2024年7月号(通巻1141号)特集概要

日本の労働者意識の変遷

30年間のON・I・ON2調査から(前編)

Contents

ON・I・ON2の経緯と動向
八木 隆一郎

1990年代から2020年代の労働組合員意識の変遷
-共同意識調査「ON・I・ON2」調査結果より-
向井 有理子、阿部 晋吾

(公社)国際経済労働研究所では、1955年から様々なテーマで共同調査を実施しており、2024年6月時点で58回を数える。なかでも、組織への参加関与と働きがいをテーマとする第30回共同調査「ON・I・ON2」は、1990年の開始以来、日本の代表的労働組合を中心に多くの労組の賛同を得て、参加組織数460組織、参加組織人員250万以上という大規模なプロジェクトとなっている。ON・I・ON2参加組織は現在も増加傾向にあり、組合員の関与や働きがいの変化に関する問い合わせも多く寄せられるなど、今もなお関心を集めている。

これまでも、弊誌ではON・I・ON2関連の特集を企画しており、たとえば、2022年7月号(通巻1121号)では、コロナ前後の組合員の意識の変化に焦点を当てた。コロナ禍以前も、2016年4月号(通巻1059号)では、ON・I・ON2のひとつの柱であるワーク・モティベーション(働きがい)をテーマに、従業員の内発的働きがいと企業業績との関係などに関する考察を取り上げている。

ON・I・ON2は、長年蓄積されてきた調査であるため、組合員の意識の経年変化を確認することも可能である1。今回の特集は、1990年代から2020年代にかけて蓄積された第30回共同調査のデータを用い、労働組合員の意識や働きがいの変遷に関する分析を取り上げ、本号(7月号)と次号(8月号)の2号に分けて掲載する。

特集1は、八木隆一郎統括研究員の「ON・I・ON2の経緯と動向」である。ON・I・ON2のコンセプトおよび重要となる考え方に加え、第49回、第52回共同調査のようなデータベース共有型の調査とあわせることで、具体的なアクションにつなげ得ることや、アクションリサーチの開発など、労働組合の運動実践に資するプロジェクトへという今後の展望についても言及されている。


特集2は、向井有理子・阿部晋吾研究員による「1990年代から2020年代の労働組合員意識の変遷-共同意識調査『ON・I・ON2』調査結果より-」である。ON・I・ON2が実施された1990年から2020年代を10年ごとに区切り、各年代の組合員意識に関するデータを比較しながら総合的に考察している。

1 これまでには、2001~2007年の調査データと1990~94年のデータを用い「失われた10年」を経て組合員の意識がどのように変化したのかを考察した論考などがある(Int’lecowk 2008年9月号)。

一覧へ戻る