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【2020年10月号】隠蔽される中国の食糧危機と犠牲者の実数

新型コロナウイルスの世界的流行により、国連の世界食糧計画(WFP)は4月、「各地の食糧不足により、1億3500 万人から2億5000万人が飢餓状態に陥る可能性がある」と 警告した。

中国政府の発表によると、現在国内で消費される食糧の約3割は輸入に頼っているが、中国の外貨準備高は2014年に4兆ドル程度であったものが近年は3兆ドル強になって いるようだ。中国はその外貨を石油や天然ガスなどエネルギー輸入に回さなければならず、食糧輸入に回せる外貨は大幅に減少するものとみられている。さらに新型コロナの影 響で、ロシア、ベトナム、ウクライナなどは食糧輸出を制限しており、今年秋以降は食糧価格が高騰するために、中国の食糧調達がますます困難になるのは必至とみられる。8月10日 に公表された、中国の7月の食糧価格は12カ月連続で2桁上昇し、8月には穀物価格がさらに上昇している。このままでは収入の少ない内陸部の住民の生活に重大な影響を及ぼす可能性があるので、中国政府内部では毛沢東時代に使用した食料の配給「糧票」の一部地域限定で復活させることまで検討しているといわれる。この情報を知った欧米の人権団体が懸念しているのは、「中国政府が食糧の供給を都市部に優先し、外国メディアの目の届かぬ内陸部などで餓死者が大量発生すること」だとされる。これはかつて毛沢東政権下で現実に起こった経緯がある。現実に、中国の発表では、8月22日時点の新型コロナウイルス感染者は8万5000人で、死者は4700人であったが、これは欧米の主要国と比べてはるかに少なく、その他の事例でも中国当局発表は他国と比べて異常に少ないことが指摘されているのである。このように従来の実績から見て、中国の場合、食糧危機やその被害の実態などが正確に報告されず、実相が隠蔽される可能性があるという問題がある。(会長・板東 慧)  

 


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