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【2020年8月号】コロナショックと今後の課題

中国湖北省武漢市で、ウイルス性肺炎の集団感染の患者から新型コロナウイルスが検出されたことが報じられたのは、本年1月9日のことだが、それは例年全国で延べ30憶人を超える中国人が全土を大移動する春節(旧正月)の2週間前であった。中国政府当局はこれに対応してただちに1月23日に武漢市を閉鎖し、さらに27日には海外への団体旅行を全面禁止したのであった。武漢は中国ではやや奥地の湖北省内で人口800万人を超える最大の都市であるが、これを完全に外部から閉鎖し、さらに中国全体が海外と断絶することを断行したのであった。この結果、他都市への飛び火は若干あったものの、武漢内での抑制が一応成功したと中国政府は発表したところである。しかし、この発生原因や地域事情には、中国特有の問題が存在するようで、それほど簡単に収まったとは言いにくい事情があったようだ。それは武漢には広大な軍事用の毒性生物育成施設等があり、高度な軍事機密にかかわる問題があったとみられる。そこで何らかのミスによってその毒性が漏出するような事態が発生したような重大事件といえそうである。

そのため中国政府は武漢都市圏を厳しく全国と断絶し、この時期に中国人の海外への団体渡航を禁止するなど、高度な管制と情報管理を徹底したようである。この中国の厳しい閉 鎖措置は、世界中の人的流動に支障をきたし、特に観光事業などにもかなりの打撃を与えたようで、中でも従来から密接な関係にあったわが国への中国人の団体旅行の停止が、わが国の関係方面に与えた衝撃は多大であった。すなわち2019年における訪日中国人客は前年比14.5%増の959万4400人であったが、その後の感染拡大によって世界各国で出入国制限が広がり、わが国では自粛ムードが高まったことで、観光・ 飲食・小売業などが5割から8割の売り上げ減少に陥ったとい われる。

このようにウイルス感染問題は、中国が「世界の工場であり、 世界の市場として機能不全に陥った」ことで世界経済にも大きな打撃となり、その後欧米主要国への感染の広がりによって危機を迎え、パンデミック(世界的流行)に至ったのである。(会長・板東 慧)


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