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【2020年3月号】新型肺炎流行と国際パニック・シンドローム

中国・湖北省の武漢市で1月に発生した新型コロナウイ ルスによる肺炎は極めて短期間に中国全土に拡大し、中国国家衛生健康委員会の発表によると、2月4日には感染者が中国本土で20,438人に達し、死者が1月21日の1人から累 計で425人となった。党指導部によると、「一連の対応で至らない部分が明るみに出た」とし、初動の遅れを含め未だ病院に収容できていない感染者もいることが明らかとなってい る。感染は中国全土にとどまらず、近隣各国からアジア全域 に波及している。わが国では横浜港に停泊したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の船内で、乗客乗員約3,700人を対 象とした検疫を実施し、陰性の乗客を下船させるなどの対応 が取られている。必ずしも武漢あるいは湖北省関係者でな くても、感染の可能性のある者は検疫の対象としており、香 港・マカオでも当局が積極的な活動を進めていることが明らかとされている。しかし広範な地域で国境を越えて拡大しているため、各国の積極的な努力によってもカバーしきれない要因もあるので、事態は容易に解決するものではないと推察される。今回のようなケースはアジアの主要地域への広がりが特徴で、未だ欧米や南半球にまでは至っていないことから断定することはできないが、近代における初めての状況となりうる可能性が強い。この種のものは、かつてのペストの流行とかその他の伝染病の流行などでも経験したり、あるいは戦争のように地球上の広範囲を巻き込む災害や人的犠牲を強いる現象が発生したりといった事例と共通する。現代においていわば初めての全地球的災害に発展しうる可能性 を持つという意味においてこの種の問題発生は注目すべきものであり、地球人が直面せざるを得ない問題として迫ってくることになるかもしれない。たとえば、国際連合といった組織がこの種の課題に適応できるのか、あるいは新たな課題解決のための国際組織が必要とされるのか、はたまたより機能的な新たな適応が必要とされるのかといったことである。  

このような意味から、まったく新しい地球人の試練として対応するという意識が重要であろう。(会長 板東 慧)
 


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