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【2019年10月号】21世紀のダイナミズム

20世紀は斬新な技術革新と産業高度化による新しい産業体制の確立を背景にして、後半にいたって新しい国際関係が生まれ、たとえばソ連邦の崩壊再編成や新中国の高度化とともに、ASEAN・アフリカ・ラテンアメリカにおける新興国の高度産業化に伴う国際関係が生まれ、欧州ではEUの成立と再編成、米国のアジア太平洋圏およびラテンアメリカにおける国際市場への積極介入、そしてわが日本の高度経済成長の持続によるアジアを中心にした世界市場における影響力の深化などが役割を果たし、大戦争なき時代の高度技術革新による高度産業国家体制が進んだ。これによってまさしく新産業国家体制による国際市場の形成が進められた。

もとよりこの世界市場再編成の下でのさまざまな不均衡があり、特に、新たに産業国家体制に編入された新興国家群の中には高成長の下での市場形成が進みながら、不均衡を余儀なくされた面は多いが、それにもかかわらず世界産業国家体制と世界市場に編入されたことは間違いない。21世紀はこれを継承していくことは間違いないが、すでに今日2020年にいたるまでにこの過程での発展に伴う不均等と部分破綻は顕著になっている。

たとえばEUが成功を見せながら新たな民族移動を誘発し、そのコントロールに多大な努力が必要となっている。その中で、英国のEU離脱をめぐっての対応の問題点が生まれ、他方EU加入を求める新興国の扱いも課題である。また、ソ連邦の崩壊に伴い、一国社会主義国家群が解体した。かたや新興の中華大国の今後の動向、とくにアジアにおけるその影響力を含めてその動きが問題点となろう。これに伴ってアジア新興国の動向も大きな問題点といえる。  

これと共に、中国の今後の動向、アフリカの再編成、ラテンアメリカの再編成などに加えて、日本そのものの21世紀の動向をどう導くか、21世紀のダイナミズムの中で、各国の動向が注目される。(会長・板東 慧)


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