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【2018年11/12月号】あちこちで揺らぐ情勢の均衡と安定-2019年以降に山積する課題-

間もなく2019年を迎えるが、社会的に特徴づける諸要素が バラバラになったまま新年を迎えることになりそうである。

いくつかの事例をあげる。

たとえば日仏両国の経済にまつわるルノー・日産自動車の 経営問題がある。経営危機に陥った日産がその立て直しのた めに迎えたルノーのトップ、カルロス・ゴーンの去就問題である。 日産経営のトップに招かれて、ルノーとの兼職でかなり厳しい 条件で立て直しを図ったが、日産の立て直しに伴う資金の使 用と相まって一種の私的な選択による資金使用を含む行動 に嫌疑をかけられて日本の検察に逮捕され、その今後が問題 となっている。これは日産とルノーとの多国籍企業間の問題 解決にかかわると共に、日仏関係にかかわる外交・経済をめ ぐる複雑な問題である。

これ以外に重要な問題として、11月15日にパプアニューギ ニアで開催されていたAPECの閣僚会議声明がその見解対 立から2度にわたって見送られたことがある。その背後には、大 国米中間の世界貿易自由化の原理を巡る対立がある。この 問題は、自由主義米国と社会主義中国の経済原理を巡る対 立であると共に、中国が東シナ海・南シナ海の島嶼に軍事基 地を拡大して他国の船舶の航行自由を阻害する可能性の 問題ともかかわり、世界各国はもとより特にアジア諸国の航行 の自由の妨害の可能性ともかかわる今後の重要問題である。

これら以外に、英国のEU離脱をはじめ、ギリシャ経済問題 とEUとのかかわりなど、さまざまな国際関係を巡る新たな課題 が惹起しており、これらへの対応を巡る諸国関係が新たな国 際紛争になりうる可能性がある。

21世紀世界は、これらを含めて今後何が起こるかは予期し がたい様相を示しており、今後の国際諸関係の展開は測りが たい様相を呈している。これらに対応する各国関係に注目す べきであろうし、その解決に様々な新たな努力やシステム形成 が求められるであろう。

2019年はこの意味で21世紀の今後を占う新たな要因を生 むであろうし、それに対応する国際的努力がさらに求められる ことになろうが、現に多くの予測される課題が未解決のまま持 ち越されることになろう。

(会長・板東 慧)


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