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【2015年1月号】「地球儀解題」にあたって

新年あけましておめでとう。今年はどんな年になるか。大いに興味がある。

さて、この地球儀は永年Int’lecowk編集主幹コメントとして執筆者無記名で毎号続けてきたが、この新年初号から研究所会長の時事コメントとして毎号記名で掲載することとなった。特別な理由があるわけではないが、会長として現役研究員の地位を離れて執筆することと、それも長期にわたるので執筆者名を明らかにした方がよいという理由による。

近年、世界情勢はもとより、わが国をめぐる諸情勢は多極化して単純に論評することが困難なことが増え、わが研究所の場合、一応は研究所としての基本方向は前提されてはいるが、問題によっては個人的見解に差がありうるし、また、そのことを明らかにすることも当然ありうるので、会長見解を明示しておくことも必要と考えてのことである。その意味において、ここに提起する情勢評価あるいはコメントは、その認識なり評価としてはわが研究所のそれと大綱的には一致するがニュアンスとして会長の個人的認識の幅を含む自由な見解と了解されたい。この点は従来もそうであったが、より一層その意味と責任の所在を明確にするために明らかにしておきたい。

ところで、近年の情勢は、国内で発生する事象も何ごともいずれもがグローバルな視点から見直す必要があるものが多く、単純な現象とみられるものも奥深く、あるいは多極連鎖を持つものが多くなっている。例えば現在アフリカなどから発生して地球上にその流行が及んでいる疾病も、単純な熱病の流行と断定することが困難で、経済・社会・地域の諸問題を巻き込んで急速なスピードをもって近づいてくる。そこには気象問題・貧困問題や格差問題など、あらゆる社会現象をまき込む現代社会病理的な特徴がある。そのために疾病や気象現象がすべて社会問題化する傾向が強い。労働問題や経済問題がそれ自体で個別的な社会現象で終わらない傾向があり、常にこのような社会の個別現象を観察する際にも関連する事柄の人間行動の連鎖を含めて観察しなければならない傾向がある。そのような意味で、ここで取り上げる問題はそのような連鎖的課題を示唆する課題とかかわるものとして扱わざるを得ないのである。 (会長・板東 慧) 


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