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【2014年3月号】東京都知事選に思う

注目の東京都知事選は、ほぼ予想通りの結果、舛添要一氏の圧勝に終わった。しかし、この都知事選は、率直に言って選挙民も政界も、東京都民のみならず、全国民の関心を誘ったし、一面では世界の関心を誘ったともいえる。それは、永年にわたるオリンピック誘致競争、それに続く劇的な開催地東京の決定、そしてその主役であった猪瀬前知事の辞任、その中で東京が世界の期待に応えてどのような20年オリンピック開催に導かれるのか、そのリーダーは誰なのか、といった不安を絡めた1カ月余の選挙であり、その中にはさまざまな期待と不安がないまぜになったものであった。

この選挙には、ほぼ順当とみられる各界からの推薦候補に加えて、東日本大震災と原発災害という巨大災害とかかわって、「脱原発」をシングルイシューとして、選挙戦を戦うべしとする小泉元首相が強力に推薦する細川元首相の出馬が注目された。東京都知事選は、1000万超の選挙民で優に小規模先進国を超える行政規模を有し、しかも、圧倒的多数の無党派票を抱える直接選挙であり、過去の例では、この無党派票の動きによってさまざまな結果を織り成してきた特殊な地方選挙という様相を持つ。突如として有名人あるいはタレント候補の出現によって、中央政界とは全く異なった政治行動を出現させることがありうる。わが国における東京都知事選の特異性は、中央政党の弱体から、常に多数の無党派層が存在し、東京のような大票田では政党の影響力とは全く別箇なところから有力候補が出現するということであり、むしろこの傾向にならされた現状からはマスコミも含めてこのような無党派傾向を評価する一面があることだ。

今回で見ても、もともと首相体験者が、別に明確な新党をつくって新たに「脱原発」として立候補するのではなく、個人タレントとして立候補することがありうる。「殿ご狂乱」などのヤジが飛ぶのにも理由がある。

今回は結果として、舛添氏が211万票(43.4%)を獲得して当選したが、これは初当選時の青島・石原両氏を上回っている。舛添氏はかつて石原氏に対抗して都知事選に出馬した経験を持ち、また厚労相経験を持つ。しかし、上にのべるように自民・公明もまた都知事候補を準備していたわけではなく、猪瀬前知事の急な辞任によって都知事選の準備に追い込まれ、かつて新党結成による離党によって、自民党を除名された経験を持つ、舛添氏を都知事候補として推薦することになり、紆余曲折を経ている。幸い経過は比較的順調であったが、ここにも問題点はある。野党は再編過程であって、党としてきちっと対応できたのは、共産・社民と推薦関係にあった宇都宮氏であり、他の野党に評価すべきものはない。

しかし、都知事選の結果は、自民・公明推薦で、舛添氏が圧勝したことは、オリンピックの顔としても、その掲げる政策も高く評価できる。成功を祈る。(伴)

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