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【2011年7月号】「菅の早期退陣」以外に道はない。急げ!

大震災による復旧から復興への道が見えない。もとより、未曾有の複合災害に原発問題も絡まっているから簡単ではないが、政府の指導力の劣化が問題をより不分明にしている。

単純に見ても、阪神大震災の際はほぼ2カ月以内に瓦礫の基本的処理や仮設住宅建設の大半にめどをつけていたものが、今回の場合には目標の半分にも達せず、未だ多くの世帯が避難地に足止めされており、食糧も緊急対応から脱出できていない。阪神大震災と比べると、地域的な広さや行政機関の広域性、さらに津波による被害の複合性と原発問題が加わって解決を困難にしている側面があるが、最も基本的な復旧の速度が極めて遅いことが目立つ。

この要因としては、まず政府の復興ビジョンが明らかにならず、特に津波の再被害を考慮した場合の住地の高台への移転などの方向性や保障が全く定まらず、各基礎自治体での復興構想が進んでいるのにそれをバックアップする体制やビジョンが明確でないという致命的な政治劣化が挙げられる。さらに、政治主導を掲げた民主党内閣そのものが、政治主導体制になく、政治家と官僚との間の行政遂行に無用な対立や相互牽制による行政の劣化が挙げられる。

さらに重要なことは、原発障害への対応である。東電の初動からの情報隠ぺいと、政府の東電に対する指導力のなさに加えて、政府自体も情報の隠ぺいや誤った情報操作によって、住民への被害を大きくし、判断を誤らせ、国際的信用を大幅に失墜させた。このような全体状況の中で見ると、まず政府がこの問題の責任を感じ、復旧のスピードを上げることである。これは当然まず民主党の責任でもある。ところが、現状は民主党と政府とは一体でなく、内部はバラバラで政策の統一性も、行動の統一性も怪しい。もともと政党としての綱領もなく、政策の統一性もなく、政権を担ってからも、小沢問題で内部分裂し、執行部と内部の諸グループ間の競合関係が続き、そこにまた鳩山という目的あいまいな元首相の個人行動があり、党としての一貫性も統合性もない状態が続いている。政権党の体をなしていないのである。このような中で菅一人が政権にきゅうきゅうとして、死に体であるにもかかわらず、延命策で撹乱しており、菅の周辺がそれに振り回されたり、延命策に手を貸したりしている状況である。すでに9月の菅首相訪米についても米国側から拒絶のメッセージが来ているようである。内閣の危機・民主党の危機の自覚がトップにも周辺にもなく、国際的にも相手にされなくなっているところに問題がある。野党もこれに振り回されているきらいがある。「菅の早期退陣」以外に道はない。民主党の諸公よ。これが自覚できないかね。(伴)


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