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組合活動事例紹介:近畿労働金庫労働組合(2010)

組合関与でベスト10にランクインされている組織のユニオン・リーダーに、現状における組合活動の事例を直接お伺いすることができました。ここでは、ご許可いただきました内容を広く公開させていただき、個々の組合員がメンバーとして関与できる組合活動の展開の参考にしていただきたいと考えています。

森下省吾執行委員長、杉山孝志書記次長にお話を伺いました。

Q:組合員の、労組や活動への関与について、どのような実感を持っていますか。

ランクインしているということは、相対的には高関与ということになるのでしょうが、当労組は、労働組合活動を金融面から支える“労働金庫”の組合なわけです。他労組と比べて組合への関与意識が高いのは当然だというとらえ方もでき、まだまだ高めていく必要があると感じています。
もちろん労金職員として、労組ないしは労組活動が社会的に必要なことだという気持ちは、職業意識のレベルでは持たれているとは思いますが、個々人が“労金労組の一員”だという当事者意識のレベルで関与できるには至っていないようにも思います。

Q:ベスト10にランクインされていることに対して、一言お願いします。

組合活動の原点は、個々の組合員がそれぞれの立場でしか分からない問題点を自発的に解決していくことだと考えています。組合執行部が“上から目線”ではたどり着けない問題に、組合員が現状の取り組みに対する“物足りなさ”を感じることが関与の原動力であるはず。
この力をさらにアップさせていく上で、ランクインしていることは驚きであるのと同時に励みにもなります。

Q:組合員の関与アップに向けた現在の取り組みでは、どのようなものがありますか。

労組組織改革の一環としての階層別会議、各種専門委員会活動の拡大について紹介します。
性別や年齢、働き方といった各層特有の関心・課題認識を共有するための会議体運営、専門委員会の立ち上げから運営の動きをフォローしています。活発に展開されている委員会活動としては、ボランティア、社会貢献、環境政策などを通じた自己実現を目指す「USR委員会」、契約や嘱託、臨時雇用のメンバーを中心に構成されている「KSR委員会」などがあります。

Q:この取り組みの対象や規模などについてお聞かせ下さい。

もちろん、すべての組合員が自発的にかかわっていきたいと感じるテーマと、それに対応する活動に制限はありません。ただし、ここ1~2年は中途入社で勤続が浅い組合員、女性の組合員が増えており、目下執行役員51名中13名が女性により構成されており、若手や女性の今後の活躍には大いに期待しています。

Q:この取り組みへの反響はいかがですか。

特に「KSR委員会」(K=契約職員、S=嘱託職員、R=臨時職員)は、2010年6月に全労金で活動報告やパネルディスカッションを実施したところ、組合員からは意見発信の機会ができてよかったとの声があったほか、この取り組みに対しては連合本部からも注目されるなどの反響が起こっています。

Q:この取り組みは、今後も続けられるのですか。

階層別会議、各種専門委員会活動については、①組合員の参画機会の拡大、②各々の立場に応じた役割・責任を果たし合うことを重視し、「労組組織改革」の一環としてさらなる継続・拡大をしていきます。
支部制を廃止し('99)、労組本部と分会が直結した「風通しの良い組織」体制において、こうした階層別会議、専門委員会活動は、個々の組合員が闊達に意見表明するための関与の輪をさらに拡大していくものと考えています。

Q:最後に、組合員意識調査実施の背景、調査結果を実際のアクションに結び付けていく上で有効な点についてお聞かせ下さい。

まず、調査実施の背景としては、組合員の活動への参加機会の減少、労組内コミュニケーションの不足、労組への求心力の低下や個々の当事者意識の希薄化といった問題意識を背景に、労組組織改革を企図する一環として、現状把握のための意識調査を実施しました。
調査によって関与型活動を軸に組織される労組を目指すための多面的なデータを得ることができ、組合員の当事者意識を高めるための教育プログラムの見直しの論拠を得ることもできました。なお、この新教育プログラムは次期2サイクル目に突入します。
目下活発化している階層別会議は、貴重な懇談の場ではありますが、参加率100%までには至っていません。今後は「まったく参加したことがない」人をゼロにしていくことを目指していきたいと思っています。

 


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