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【2009年7月号】20年にわたる米国経済・外交政策の吟味と反省こそ重要―ユニラテラリズムの内実は何であったか―

北朝鮮の2度目の核実験強行に対応する国連安全保障理事会の議論は、2週間を超えて異例の長さになった。今回は一定の妥協はあったものの、従来からの中 ロと日米韓の対立ではなく、北朝鮮に対する強硬な圧力で合意し、全会一致の決議を得ることとなった。かつてないことである。問題はどこまで実効ある行動を 各国がとれるかにかかっている。米国オバマ政権が従来の米国とは異なったシビアさをもって取り組んでいることも1つの特徴といえる。

思うに、98年体制によって米国の国際的地位の優位が決定的となって以来、ユニラテラリズムによって経済的支配と国際警察軍的役割を担おうとしてきた米 国は、実は外交においても経済においても、その優位さを駆使しているかのようで、結局空舞いの20年であったことがますます明らかとなっている。

クリントン政権は中東和平を掲げてパレスティナ問題に関与したが、結論的には元の木阿弥であったし、北朝鮮核開発の歯止めとして日韓をも誘ってすすめたKEDOは北朝鮮の裏切りを見破れず崩壊した。

次いでブッシュ政権は、アルカイーダによる国際テロを契機にしたテロ包囲作戦の成功のチャンスをつかみながら、ハンチントン「文明の衝突」の教条化とネ オ・コン依存の下でのイラク侵攻によって泥沼化し、他方で北朝鮮に対しては、一種の政権人気浮揚のための無原則な交渉と譲歩によって、抑制力を放棄する結 果となった。

他方、ほとんど毎年の如くノーベル経済学賞が米国にもたらされたが、市場原理主義、時価会計原理、金融工学etc.の過度の無原則な政策適用によって、 米国経済の弱体化と混乱をきたしたばかりではなく、国際的にも混乱を招き、その総集編として今回の金融破綻による世界経済危機を招くこととなった。

この意味において、残念ながら、この20年の米国の経済・外交政策は、その有利な地位を生かしえず、独善性によって破綻を来したといわざるをえない。

ようやくオバマ政権の成立によって、その多大なマイナスとデメリットからの回復に努力が注入されているが、苦難の選択が続いているばかりではなく、 ウォールストリートにしても外交的選択にしても、旧来の弊害から決然と脱出するのに困難を伴っていることは明らかである。

その成功のためにも、この20年来の米国の経済・外交政策の混迷について、改めて厳粛な検討が必要であり、それへの追随をめぐっての反省が必要と言えよう。(伴)


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