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【2009年5/6月号】民主党・鳩山「新体制」で何が変わるか

内外批判の高まる中で、しこりになっていた小沢前代表の続投にけりが付き、ようやく民主党・鳩山「新体制」が出発した。しかし、ここに至るまでの民主党 の動向は、政権奪取で新しい政治を実現するという建前から見て、何と無様だったか。とはいえ、皆が恐れているのは、鳩山新代表自らがわざわざ注釈しなけれ ばならなかったほど、「小沢傀儡」にならないかどうかである。小沢前代表が果たした役割―特に参議院選その他選挙における民主党勝利への手法と実績、は内 外ともに評価されるが、そのビヘイビア―国会重要会議への欠席、党首討論の拒否、しかも、今回ようやく民主党から申し入れながらのドタキャンなど、には目 に余るものがある。小沢前代表ほどの者が何故党首討論を恐れるのか。大方の合点がいかない。この間の民主党の国会活動は、多くの政策重視の議員を抱えてい ながら、ごく一部を除いてほとんど政府案の上げ足とりか、反対のみに終始して、議会での有効な闘いにはなっていない。それは、政権を奪取した暁に実行する と言うのみで、対案を示そうにも財政的裏付けがずさんなために議会における日常活動が脆弱に終わっているからである。これには、共産・社民・日本新など他 の野党からも不満がでるほどであった。

これは、単に小沢前代表の欠陥というだけではなく、有力議員が明らかに不満を持ちながらも、これを党内の正統な議論に乗せて解決せず、党内民主主義が危 ぶまれていることに関係している。小沢批判をすると小沢チルドレンからいじめにあう、選挙の公認をはずされる、といううわさはマスコミでも紹介され、現実 に民主党議員の口からも聞こえる。

小沢問題では世論調査でも「説明不足」との回答が過半数を超えていたが、問題は政治献金の手続きの問題ではない。田中・金丸問題以来、政界の問題となっ てきた、特定企業からの長期にわたっての飛びぬけて高額の献金について、その理由や使途が明らかにされないことへの政治家としての倫理的姿勢の問題であ る。にもかかわらず、それが明らかにされず、ついに本人も党内での議論としてもうやむやに終わった。それを鳩山新代表は、個人の裁判上の問題にすり替え た。また、TVに出演した民主党の有力議員たちは、小沢前代表が選挙で各候補を応援するのに役立っていると説明したが、そんな金は、本来党費で負担すべき ものであろう。

かくて、小沢前代表辞任後、わずかな日程での代表選挙に公然と不満も出たが押し切られた。民主党は過去6回の代表選の中、4回は無投票で、全国の党員・ サポーターを含む代表選は平成14年秋の1回のみ。過去すべての代表は任期満了ではなく、アクシデントで退陣している。小沢前代表との「一蓮托生」を唱え ていた鳩山新代表への禅譲を強引に果たした新体制の先行き如何。(伴)


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