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【2007年7月号】年金問題、官僚の腐敗体質を助長してきたのは誰か―国民への補償の徹底と繰り返さない保障のための責任追及を―

年金問題 が出てきて、国会も騒然、国民も騒然である。安倍内閣にとっては、過去の政権のミステイクを全部ひっかぶることになって大変である。当初の木で鼻をくくっ たような厚生労働相の対応が政治不信を招き、加えて安倍首相の最初の国会での答弁が行き届かなかったところから不信拡大に火を注いだ感がある。しかし、も ともと厚生労働官僚の大臣答弁原稿がおかしかったことに起因する。従来であれば、大臣答弁は官僚の答弁原稿を基本に行われて当たり前だからである。しか し、さすがに事態の重大さにすぐ気がついた安倍首相の積極対応と答弁訂正によって、事態は積極改善の方向に動き、時効排除の法制化も含めて緊急対策が進ん でいることは結構なこと。そのために内閣支持率の大幅低下など、政権の受けた損失も大きい。信頼回復を含めた積極的な行政努力が重要である。

しかし、バブル時代から過去20年以上に亘って、日本の官僚体制は高級官僚を中心に、国民の利益よりも官僚の利益を優先することを既得権益化する風潮が 高まった。雇用促進事業団や研修問題をめぐる労働官僚、老人ホームや福祉施設をめぐる厚生官僚、道路をめぐる建設官僚、教科書・出版をめぐる文部官僚、そ してヌードしゃぶしゃぶなどで悪名高き大蔵官僚など、それぞれ次官級を含む汚職の「業績」を上げ、自殺者もだしてきた。さらに、社会保険行政の乱脈ぶり は、江戸時代以来の役人を含めて最悪である。グリーンピアやその他の施設行政の無責任が続いたが、年金登録という国民に対して果たすべき最低の義務違反が 暴露された。しかもこれまた、長官を中心のトップの犯罪が原因である。

民主党の長妻議員の1年以上の努力がこれを明らかにしたことは立派だが、与党議員はもとより、いま、政府追及にやっきの野党議員も本当にこの体たらくを 全く知らなかったのか。疑いさえ持ったことはないのか。かくも長期にわたる官僚どものサボタージュを、本当に知らなかったのか。国民の目から見ると、永年 にわたって随分の苦情が明らかになっていたのに、「議員の大多数が知らなかった」などというのは怠慢でないのか。本務を果たしてきたといえるのか。その意 味で与党・野党問わず、格好良い攻撃合戦や国民の不安をつのらせる「できないはずだ」と呼号するより、どうしたら短期に解決可能かについて徹底した保障の ための方法を求める議論こそ先行させるべきだ。こんなことでよい格好をしたがるだけで、解決の知恵のない議員ほど信頼できないものはない。官僚の横暴は与 野党議員の見て見ぬ振りに助長されてきたことは間違いない。間違いが続けられた期間があまりにも長いからである。しかし、その上で、この長期に亘る行政麻 痺の責任は、しぶとく追及してもらいたい。(伴)


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