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【2007年1月号】揺らぎと流動の中で再構築迫られる―日本のリーダシップは如何―

2007年が明けた。新年おめでとう。さて、今年はどのような年になるのだろうか。今日は、20世紀後半と比べて異なる世界状況の展開で、21世紀状況ともいうべき特徴が顕著な中で流動の真っ只中にあり、到着点を決定づけ得る段階ではない。

貧富の格差はあっても地球上の文明化は急速に進み、地球上の人口増・高齢化は加速化し、地球の温暖化やエネルギー不足や環境破壊をもたらすことであろ う。そこで、当然、これらに対抗する文明努力も積極化するであろうが、それが有効に働いて、人類の新たな葛藤や闘争を防ぎうるだろうか。あるいは新たなシ ステム生み出し得るであろうか。

20世紀前半における戦争と革命の連続は、核兵器やミサイルなど高度な軍事技術の開発によって、米ソ両極による冷戦=55年体制を成立させたものの、第 2次大戦の遺産としての国際連合は、多数の新たな独立国の参加をみて190カ国に達したが、大国間のパワーポリティックスの調整機能としてかろうじて役割 を果たしたに過ぎなった。

かくて冷戦下の軍拡競争と社会主義の体制矛盾によって冷戦体制が崩壊し、アメリカ一極体制ともいうべき89年体制が成立し、旧社会主義圏及び途上国圏に おける民族紛争や地域紛争、国際テロリズムにたいしては、アメリカを軸とする多国籍軍による幅広い国際協力が成立し、特に、9.11同時多発テロは21世 紀を象徴する新たな戦争形態として、中ロを含む国際反テロ戦線を形成した。しかし、中近東・中央アジアにおける紛争には背後にエネルギー問題が関わってお り、アメリカのイラク攻撃にいたって、中ロのみならず仏独白が賛同せず、EU・NATOに亀裂を生じた。

EUは中欧・地中海諸国を含め25カ国、NATOも東に拡大しつつある中で、EU憲法が成立せず、内部に違和感が拡大しており、ユーロについては英国な どが未加盟のままである。ロシアはオイルブームで大国主義が復活しつつある。アメリカは、人気低下の中で戦略再構築を迫られ、ポテンシャルが低下せざるを 得ない。

アジアは共同体形成に向かって、詰めをしていく重要段階にあるが、中国の陽動作戦ばかり目立って、リーダシップが不在である。安部内閣は今こそチャンス である。しかし、スタートはよかったものの、もたつきが見え、支持率低下が気になり始めた。アジア共同体について明確な戦略と実行体制を明示しないでは訪 欧の成果は期待できない。

2007年の世界は、上に述べたような揺らぎの中での再構築の年となろう。(伴)


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