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【2006年2月号】人口減シンドロームをマスコミから一掃せよ

少子・高齢化の進行と共に人口減社会の到来が大きな問題になっている。これ自体わが国の21世紀パラダイムにとって何よりも重要なことは否定出来ない。当 然、経済力・社会構造・ライフスタイル等に多大な影響を及ぼすからである。確かに古来、通常は人口の多い国を大国の第1の条件としてきた。そして、近代に なって経済発展と市民社会の成熟により女性の社会進出がすすむと、子育てに人生の多くの時間を費やすことを好まず、女性が少子化を選択する傾向が生まれ る。そのため、西欧先進国は、前世紀にこの現象に直面すると、少子化対策として、育児にかかわる公的サポートや公共政策による出産奨励をすすめ、それに よって一定の効果をあげてきた事例も多い。

しかし、翻って考えると、貧困国ほど多産で地球人口は人口爆発寸前の状況にあることも事実で、その対策も緊急の課題という矛盾にも直面し、さらに大国間のパワーゲームが人口増加を不可欠とする発想を克服できていない面がある。
このような矛盾する価値観をどう克服すべきかが問われる。また、西欧先進国の少子化対策の成功も、婚外出生児の保護やサポートの結果という側面を見逃せな い。さらに、アメリカの場合、国土や資源から見て、未だ移民増加を重視すると共に多産への志向も強いし、オセアニアもこの傾向がある。また、オランダのよ うに、真に家族の協同性を遂行するためのone & halfシステムによるワークシェアリングを徹底させようとする国もある。

このように考える時、人口減問題の対処は、19世紀国民国家型の単純な人口増政策に帰結させるべきものではなく、やはり経済・社会の質的発展とのかかわ りですすめていくべきものといえよう。わが国の場合、バブル崩壊と「失われた10年」という縮み志向の中で、多くのマスコミ評論家達が縮み志向を煽り立て た傾向があったが、小泉改革と経済循環の中で、景気が回復した。今日、全く新しいパラダイムによって、これに対応すべきである。例えば、労働力問題では、 労働時間規制を徹底してワークシェアリングを通じて就業可能な前期高齢者の就業を確保すると共に技能を伝承し若者の就業を保証する、職場・地域・学校で育 児・教育の協同性確保と女性参画を高めるなど、新しい社会づくりを高く掲げるべきで、その上で、外国人労働者のフェアな受入れを図るべきであろう。その結 果として人口減に歯止めをかけるといった戦略構想を樹立し、いたずらに人口減を理由とする縮小志向を断固排除すべきだろう。(伴)


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