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【2005年7月号】政局狙いで雑音増え始めた小泉「靖国詣で」

小泉首相 の靖国参拝が政局含みになってきつつある。これは本来おかしな事で、もし、それほど重要な政治問題であれば、国会でもっと議論になるはずである。ところ が、ほとんどそのような論議にならず、野党も真正面から取り上げず、与党も周辺部やインフォーマルな集まりでの話題ばかりである。もとよりこれは法制上の 問題でもなければ、外交政策上の問題なのかどうかさえ疑問で、議会の議論になりにくいのであろう。ところが、注目を引くのは、河野議長が召集した首相OB の集まりで、新聞によると「慎重に」という結論を首相に伝えたという。一体、三権分立の中で、立法府の長が行政府の長に、この種の問題で注文をつけること 自体が不思議である。彼にこの種の会を召集するステータスがあるのかどうか。さらに、「慎重に」などという曖味な申し入れも奇妙である。明らかに内容より もパフォーマンスが主であって政局がらみの行動といわざるをえない。彼は最近、中国を訪問してきたばかりなので、中国政府から言われて、それを忠実に履行 したのであろう。もともと、彼は外相の時に、国内世論を無視して、金正日の対日態度を軟化させうるからと言って、大量の米を人道援助した経緯がある。結果 は何の効果もなかった。

その他、政治的には死に体の加藤元幹事長も最近この間題で陽動し、小泉に忠告したとか言っている。歯科医師会からの汚職の疑いもあった橋本元首相も訪中 するなど、政治家の中国詣でも盛んである。大体は、旧大平派・竹下派やその他の派閥の面々が動き出した感がある。中曽根や宮沢もこれに呼応して、小泉の 「靖国詣で」批判を始めた。中曽根は首相在任中に靖国詣でをやめたことを大決断の如くいうが、もともと「風見鶏」と言われた男だし、宮沢は教科書問題で早 くから中国に土下座してきた輩である。

靖国詣ではそれぞれの信条の差があって当然だが、一国の宰相が信条と方針として行動したことを外国から言われたからやめるなどということはおかしいし、 他の政治家も政策の相違として一貫して批判してきたのならそれもよいが、外国に言われたからやめようなどというのはいただけない。中国も「日本の国連常任 理事国入り反対」「尖閣諸島の油田採掘」などという対日政策を「小泉の靖国詣で」と交換する気など毛頭ないことは明らかである。とかく隣国との競合関係は 起こりがちであり、中国との外交関係は経済を含めて、小手先ではなく重厚な外交関係を通じて改善すべきものであろう。(伴)


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