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【2004年9月号】真夏の怪談―いくつかの気になること―

最近の世 の中の動向で気になることがいくつかある。それは、従来の常識が破られたり、本来的におかしな動きが強まっているような事態を意味するし、それに対応する マスコミの態度もどうも芳しくないという事情があるので、敢えて「真夏の怪談」―妖気なるもの─として、早急な是正と改善が求められる代表事例をあげてお く。

第1は、UFJ問題に関する当事者と裁判の問題である。もともとUFJ信託部門と住友信託の合併契約は正常な契約であり、これを破棄したUFJとそれを そそのかした東京三菱は、法的にみて誤りであり、仮にカネで和解する道はあるにしても、世界一をめざすメガバンクの態度としては褒めたものではない。この 契約を重視した東京地裁の決定は当然であるが、それを否定した東京高裁の態度は全くいただけない。何となく強い方に味方したか、金融庁などにおもねる態度 が不愉快である。この際の東京地裁の裁判長はやや反骨のある判決で有名なので、マスコミの中には、理屈は正しいが「あの裁判長は変わり種」といったコメン トをした者もあった。もっての外で、このコメントも三菱寄りといわれても仕方がない。三菱は自動車のトップといい、世間の常識や消費者ニーズを踏みにじる 財閥横行と品性の下劣さを伺わせる。それは三菱グループ内部からもでている内部批判である。最近の法曹界も怪しげな判決や判断があることも気になる。

第2は、選手やファンを無視した野球「1リーグ」への動きである。読売のナベツネの毒舌も問題だが、この流れを押しているオリックス宮内・西武の堤など は、野球を食い物にする財界屋であり、近鉄やパ・リーグの球団経営者は不甲斐ないだけでなく、球団経営者失格である。特に新規参入意欲のある若い企業家を 排除しておいて、閉鎖社会を守ろうとするのは、スポーツ業界からフェアというスピリットを排除しようとする淫靡な集団であり、凡そスポーツとは相容れな い。彼らこそスポーツ業界からの追放に値する。ナベツネは何か魂胆あって表から身を引いたが、それが改善につながるかは不明である。

第3に、中国の反日機運である。明らかに社会主義圏崩壊後の共産主義危機に対応するイデオロギーとして、改めて反日教育が強化されたし、市場経済の 「陰」の部分としての6割近い民を覆う所得の極端な格差と膨大な失業と崩壊する農村による貧困に加えた高官の汚職を隠蔽するために、外敵をつくってきた江 沢民路線の結果である。しかも、言論統制によって、はけ口のない不満世論を外敵に向けようとしてきた。反日に平行していまや反韓も強まっている。正当な意 味での歴史認識による批判と異なって、ことさら外敵に目を向けさせるやり方は言論統制と並行する権力の常道である。すでに胡錦涛新指導部はこれを改善しよ うとしているが、反面利用もしている。しかし、このやり方は、明らかに次の矛盾を生み出す。それは、第2の天安門事件(当時と逆の政府批判)の可能性とオ リンピックなど本来求むべき国際友好に亀裂を生じさせる可能性である。中国経済は、いま行政による過剰な建設・不動産バブルとエネルギー・素材不足、貿 易・財政赤字、そして見せかけの成長と連動する汚職を抱えて、深刻な危機にあることをあらゆる指標が示している。反日分子の極端な行動はこの危機の表現で ある。(伴)


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