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【2003年8月号】改革と経済回復堅調化に思いつきでない努力を

7千円台まで低落して低迷を続けていた株価が上がり、1万円を回復した。その要因はアメリカの市場の反映や巨大外資の買いによる介入などもからみ単純では ないが、製造業中心の3月決算の大幅黒字、りそなへの資金投入による大バンクの動揺の抑制などを見ている投資家大衆のマインドの変化など、明るい見通しが 生まれてきたことが大きい。

もともと小泉構造改革政策は、掛け声ほどに進捗していないのは事実だが、改革の手を打ったのは間違いないものの、世論の小泉支持率の高さに対する政治家 のジェラシーや妨害、評論エコノミストの竹中ジェラシー、そして日本のマスコミ特有のこれらへの過剰同調による経済ペシミズムが大衆のマインドを冷やして きたことは事実である。

もともと株式市場などというのは株価対策によってどうにかなるものではない。経済に対する冷静な対応が必要なので、小泉内閣の悪口をいっておれば安心と いった、これらオピニオンリーダーたちの風潮を反映してきたわけで、すでに昨年来モノツクリ企業の多くが、リストラと新規商品開発によって大きく黒字に転 じていた。ただ、銀行の有利子負債処理の遅滞とバンク・マネージメントの保守主義と、ゼネコンの相も変わらぬ大型公共事業期待で体質改善が進まないことな どが解決を遅らせてきたのである。

マスコミに登場する経済評論家たちも、部分的な批判はあたっていても、これらの情勢を変え得るほどの説得力がないからこそ事態は変わらなかったのであ る。しかも、また、いまの時点で、この株式の値上がりは間もなく値下がりに転化するような発言が多い。もともと、これら評論家の大半は、旧大蔵・経企庁の 息のかかったOBか、大バンク系のシンクタンクで、自分たちの過去の擁護か官僚や銀行サイドにたった連中ばかりで、凡そ市民サイドに立ったり改革マインド をもった人々が少ないことは明らかである

民主党・菅代表や野党も株価対策をめぐる小泉批判に終始してきた訳で、彼らは政府が株価対策によって人為的に株価を左右することを望んでいたとしたら大 間違いである。今度は「高速道路無料化」などを打ち上げているが、現在進行中の改革をスピードアップする現実的説得力のある案を提起して事態をすすめるよ りも、思いつきのアイディアで現実性さえ明確でない。民主党についていえば、自由党との合流問題など、旧社民グループや反小沢グループによって素人目にみ ても達成困難なことを見通しもできなかったトップを大衆が信頼できるはずがないわけで、思いつきによるイメージダウンが多い。

共産党のトップも、幹部のセクハラを酒の故にして、「外部での飲酒禁止」など筋違いの規律として公言するのは、「酒が悪い」といわんばかりで子供の知恵にもならない。さすがに内部批判で訂正したが、野党のトップの幼稚な発想には驚く。
小泉改革は提起はよいが「腰砕け」になっているわけで、その批判は、改革を積極化する方向でスピードアップすること、折角、回復軌道に乗った経済を堅調化することに政治家はもっと全力投球すべきである。 (伴)


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