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【2015年3月号】高齢社会ー日本構造転換の必要性

「高齢社会」と言われて久しいが、年が改まるに従ってその新しい様相が認識されている。

1960年代ー人生60歳時代から、1980年代ー人生70歳時代、そして人生80歳時代―2000年という風に私たちは経験してきた。幸いわが国は伝統的な儒教イズムが支配的で、年寄りを大切にすることに余り抵抗がないので、福祉システムを含めて敬老型に転換することが比較的スムース
に展開してきたように思う。ただ、福祉システムそのものが都市型雇用者中心に形成されてきたのでこれに包摂されない人ー自営業・農業およびこれに包摂されない、女性世帯の場合など高齢福祉が及んでいない階層がある。こういった日の当らない階層に対する配慮は一種の社会的陥没層として重視する必要がある。

このように福祉社会の一種の陥穽(かんせい)を重視する必要がある。

さて、さらに大きな問題は高齢者福祉は福祉先進国のシステムに学んで、さらに敬老型社会伝統のためにかなり進んできたのに対して、本来の福祉施策から取り残される問題が大きい。それは若者または若者世帯の問題である。

日本の場合、特に年功社会の伝統から企業を中心とした経済システムが年功型を伝統としてきたために、若者という労働力育成・福祉が置き去りにされる傾向が強い。

現実の日本社会は産業界も生活システムもイノヴェーション(Inovation)時代に入っている。古いモノより新しいモノへの転換の時代にある。その中で若い労働力が重視され、育てていかねばならない。にもかかわらず、待遇上で若者が重視されず、特に若い世帯の生活ー子育て世帯が待
遇上大切にされないシステムが依然として支配的であり、20―30代労働力の待遇を重視するシステムへの転換が進んでいない。イビツな構造が根強く残っているのである。

明治以来、支えてきた構造が問われているのである。
(会長・板東 慧) 


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