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【2014年2月号】重要な転機としての今春闘

2014年春闘は、混迷してきた春闘に新しい可能性を生み 出すかが問われる。

それは、何よりも発足1年にして長期デフレからの脱却と景 気回復への顕著な兆候を演出した安倍内閣は、アベノミクス の定着によって経済成長の持続によるわが国経済の再生を 目指し、その実現可能性が期待される。何といっても、20年に わたる閉塞状況からの脱出について、未だ確定的とはいえな いまでも、景気回復の波は大企業と円安の影響の強い輸出 に波及し、長期停滞からの脱出の端緒を形成してきた。

確か に、未だ、それは中小企業全般に及ばす、逆に円安によって コスト高に見舞われている産業も生まれているが、産業全体 に成長効果が波及するにつれて好循環に転換する可能性 が見えてきた。これは、従来続いてきた長期停滞により企業 のイノベーション投資の方向もなく、企業収益を専ら内部留保 に向かわせ、総体として停滞ムードの中で縮み志向が経済を 支配してきたことからの転換であり、雇用も拡大せず賃金も 抑圧されてきた状況からの転換が見えてきたことを意味する。

経済展望に明るさが見られ、企業も政府の成長政策に誘 導されて、イノベーション志向が生まれ、20年東京オリンピック 誘致の決定とあいまって、投資の増大を招き、それが消費マ インドを高めてきているのである。確かに、大企業収益の増大 や株価の上昇のみに効果が見えて、未だ中小企業や勤労 者所得に幅広く向上を招いてはいないという指摘があるが、 もともと経済の回復過程の性格での結果であって、すでに昨 年の勤労者臨時給与の上昇や雇用の拡大にその影響はみ られる。そして、政府の経済界への呼びかけによって、賃金 上昇による消費の向上を通じての経済の好循環への誘導 も具体化しつつある。

連合は労使交渉を通じての定期昇給の確保のみならず 定例給与のレベルアップを求めてきたが、安倍内閣はこれに 対しても積極的に応じて経済界にこれを求め、1月15日経団 連は賃金引き上げを頑なに拒んできた態度を6年ぶりに転換 し、今春闘にあたって可能な限り賃金水準の上昇を認め、特 に経済の好循環に適応するべき賃金改革等への配慮を進 める旨の声明を発表した。これはかつてないことである。この機 会に労働組合は、労使が積極的に賃金・雇用の構造改革を 進める機会として積極的に政策を提起すべきであろう。(伴)


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