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組合活動事例紹介:石原産業労働組合(2010)

組合関与でベスト10にランクインされている組織のユニオン・リーダーに、現状における組合活動の事例を直接お伺いすることができました。ここでは、ご許可いただきました内容を広く公開させていただき、個々の組合員がメンバーとして関与できる組合活動の展開の参考にしていただきたいと考えています。

山下育生中央執行委員長、岩谷禎朗中央書記長にお話を伺いました。

Q:組合員の、労組や活動への関与について、どのような実感を持っていますか。

生活に近い問題や労働条件に関する問題については、職場会での発言が増えてきましたが、各支部での情報の格差があり、そのため発言内容にも温度差がある状態です。以前は、執行部が一方的に説明するだけだったのを、グループディスカッションにして考えさせる、朝会や昼会を行う、年齢や職場ごとに参加できるようにするなど、支部によって工夫を施しています。参加した以上は発言しようという姿勢の組合員もみられます。
定期の職場会としては、運動方針を伝えるとき、春闘のときの年2回あり、参加率は以前からほぼ100%ではありますが、こうしたうねりが全支部に広げいていくのは今後の課題でもあります。
 

Q:ベスト10にランクインされていることに対して、一言お願いします。

嬉しいのと、驚いているのが半々です。調査結果からは“ぶら下がり”型の組合員が多いと指摘されましたので、関与が高いと言われても、なんとなく結びつきませんでした。(編者注※どちらも他労組との相対比較であるため、必ずしも合致しません。)これからもっと上げられるように、目標、励みにしていきたいです。
 

Q:ON・I・ON2調査以降の取り組みについてお聞かせください。

当社では、2006年にフェロシルト問題を起こし社会的にも大きな影響を与えました。その年に、ON・I・ON2調査を実施し、組合員が、組合にも会社にも“ぶら下がり”型がきわめて多いことに愕然としました。
事件が起こった当初は、組合員も関係先で強く言われることも多く、世間の会社に対する不信感を感じていたと思います。そんな中、労使で信頼回復に努めて行くことを確認した矢先に、業績が非常に厳しい状態に陥りました。
このような大変な状況の中でありながらも、多くの従業員は会社・組合への関心が低いとともに、他人事という意識も否めず、何か小さなことからでもできないか、ということで、あいさつ運動を始めました。
 

Q:この取り組みへの反響はいかがですか。

朝の6時から8時まで執行部が門に立ち、あいさつをしていたのですが、次第に浸透していき、中には「ご苦労やね」と声をかけてくれる組合員も増えてきました。それが1年ぐらい経った頃、別の支部でやってみようかな、という声があがり、飛び火しました。その後、労使で取り組んでいた安全意識への取り組みと相まって、安全衛生委員会の行われる日にあいさつ運動をしようということで職場まわりを行うようになりました。

Q:あいさつ運動以降の取り組み状況についてお聞かせください。

こうした流れの中で、昨年度より「きずな」を強くするための取り組みをしてきました。例えば、最近はEメールが浸透して、職場で隣の席の人に話をするのにもEメールで送る人がいますが、コミュニケーションとは、Eメールを送るだけのような一方通行のものではなく、伝えたことを受け手が理解して成り立つ双方向のもの。そうした共有、つながりなど、つまり「きずな」を大切にしたいという、執行部の思いを訴えてきました。
そして、本年度より、今までの会社・労組としての復興の取り組みを「3F」(スリーエフ)運動という形にして推進していくこととしました。“for Company”(=会社のために)、“for Organization”(=組織・職場のために)、“for Member”(=組合員やその家族のために)という3つの“for”で「3F」です。

Q:この取り組みは、今後も続けられるのですか。

取り組み自体はこれからですが、組合員・組合・会社のそれぞれの果たす役割を考え、活動していきたいと考えています。

Q:最後に、組合員意識調査実施の背景、調査結果を実際のアクションに結び付けていく上で有効な点についてお聞かせ下さい。

過去にもON・I・ON2調査を実施していたので、またやってみよう、組合員の意識の変化をみてみようと再び実施したのですが、“ぶら下がり”型の組合員が多いという今回の調査結果は衝撃的でした。これは何とかしなくてはいけないと考えて、運動方針にもしっかりと反映させ、取り組んできていますし、会社にも調査結果を伝え、共有できています。
執行部としては、調査結果などをふまえ、アクションを起こしていくときに、やってみて、うまくいかなかったら違う方法でまたやってみればいい、という姿勢で実行に移していっています。

 


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