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【2011年2月号】与謝野も与謝野なら、菅も菅─末期症状見せる菅内閣─

第2次菅改造内閣が発足した。マスコミのほとんどの論調もTVなどによる街頭質問でも、評価は極めて低いが、マスコミによる世論調査では概ね内閣支持率が30%強と、昨年末の20%強から回復と評価される結果となっている。これだけみると、菅内閣は改造によって支持率回復というプラス評価を得たことになるが、その背景は複雑である。プラス評価の基本は2人の閣僚への参議院問責決議に対応した更迭と、党として小沢の政治倫理審査会出席への追い込みという脱小沢路線強化があるとみてよい。だが、これは野党の強いた抗議と、遅きに失したが予算国会運営上の野党への配慮であって、まさしく引き延ばしの連続が限界にきてしぶしぶ対応したという他はない。

この間、政策的には沖縄基地問題・外交問題・財政積極化など、何事にも消極的で、いわんやマニフェストの実行は進まず、実行困難なマニフェストを掲げたこと自体の責任問題や謝罪の追及さえ強まっている。多数の国民から屈辱的と非難された尖閣諸島事件での対中国関係改善も明確に出来ず、小沢問題をめぐっても消極的内向的な内ゲバに終始し、国会運営についても新たな連立や国会運営での新地平を切り拓く努力は皆無である。財政展望も含めて実行困難なマニフェストからの転換による新たな政策確立への努力も、政局を切り拓く新たな路線の開発への試みもなく、ただ自己防衛のみを先行させた菅内閣の姿勢。しかも、小沢支持グループとの関係は、むしろ対立を選択することによって世論的支持を願うというやせ細り型の路線を選択し、結果として、鳩山内閣を消極的に継承した閣僚の下で、法務相の無様な食言による更迭、第1次改造内閣による新大臣は全く仕事もせずに更迭か横滑りとなった。さらに、第2次改造内閣は、反小沢4人組──菅・仙石・岡田・枝野グループ主導という「身内体制」に終わっただけではなく、わが国政治史では例のない「与謝野一本釣り」内閣となった。

もともと「民主党こそわが国政治の悪の元凶」とまで称してきた「たちあがれ日本党」の共同代表(しかも自民のベテランで離党間もない)を引っこ抜いて、民主党内閣の最重要な経済財政相に充てるという、菅の破廉恥ともなりふり構わぬ行動に驚く。自民はじめ野党の攻撃の的になるだけでなく、民主内部から敵対批判が出るのが当然という情況であり、民主党に人材なく、政権担当がおぼつかないことを自ら宣言したようなものである。「民主党は政策・人材からみて政権担当能力なし」と疑っていた筆者も、自民の末期的症状から見て「最低、民主党への政権交代だけには意味があるか」と思い始めていたが、その仮説さえ危うくなった。「昨日明言した基本が守れない」3人の現代政治家──鳩山・菅・与謝野──は歴史に残るだろう。世論調査での内閣支持率の若干の回復は間もなく夢のごとく消え去るに違いなく、再び、政局の混迷を迎えるだろう。(伴)


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