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【2010年11/12月号】国益を損ない、危険水域に達しつつある菅内閣支持率

尖閣諸島での中国漁船衝突問題ビデオ流出問題が政界を騒がしている。もともと菅内閣が、領海侵犯後の海上保安庁巡視艇の警告を無視しただけでなく敢えて衝突してきた中国漁船の拿捕と船長逮捕による刑事事件を、中国側の抗議によって不起訴のまま石垣地検の判断で釈放したことについて、あくまで石垣地検の責任だとし、政治責任を回避したこと、しかも、「一見すれば問題が中国船側にあることは明らか」(前原外相)としながら、ビデオの一般公表を一貫して拒絶し、国会の一部議員への公表にとどめたという経過がある。さらに、もともとこのビデオは秘密扱いされていなかったことはあきらかであり、国民感情としても圧倒的多数がビデオの公表を求めていたにもかかわらず、わざわざ隠したためにビデオが流出公表されたことは、菅内閣にとって大きな失点となった。しかも、その流出責任を追求するといういびつな行動をしている所に大きな問題がある。情報公開の積極化という従来の民主党の趣旨からすれば、今回の情報秘匿はその原理に反し、今回の問題処理の胡散臭さと合わせて民主党内閣の態度は国民から非難されて当然となる。

一方の中国側はこのビデオの露出に不快感を表明しているものの、むしろ中国国民を刺激しないように鎮静化を図っているという。もともと中国首脳はこの尖閣諸島問題の発生について烈火のごとく怒り、対日抗議のみならず、中国側の要請も含む旧日本軍の危険物処理に当たっていたフジタの社員逮捕や、通常の商行為としてのレアメタル輸出の制限などの嫌がらせを行った。また、春にニコニコ顔で日中友好のキャッチボールを演出した温家宝首相が、国連総会に出席したニューヨークでは華僑相手に一国の宰相としてあるまじき鬼面丸出しで日本非難をさらけ出したり、自ら提案した日本青年1000人の上海万博招請を一方的に延期するなど陳腐な行動が重なった。さらに、菅首相との首脳会談ドタキャンや会談回避が続くのもおかしい。もともと中国トップが長年にわたり歴史問題で極端な反日教育や宣伝を行ってきたことが中国の若者に影響を与え過ぎて、必要以上に若者の反日感情を高ぶらせているのだが、若者の失業の増大や生活格差の拡大の不満もからまって、反日デモが勢い余って反政府デモに転化する危機をはらんでおり、当局はこれを抑制するのに躍起になっている。しかも、その背後には中国首脳間の路線対立と内紛があり、これに軍部の圧力もかかわっているという。

一部週刊誌が伝えるように、菅内閣は尖閣諸島問題ビデオを公表しないと中国当局に約束したのではないかとまで疑われている。菅首相は最近までこのビデオは全く見ていなかったといい、これらの問題処理の責任は仙石官房長官にあるといわれる。国家の権威と国益をかけた外交が一部閣僚の秘密裡の行為で処理され、国民の不信は極度に高まり、内閣支持率は20%台に落ち込み危険水域に達しつつある。  (伴)


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