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【2007年8月号】最近の司法界のヤミを恐れ、憂うる

地方高検 検事長の経験も持つ緒方元公安調査庁長官が起こした朝鮮総聯中央本部の所有権移転登記事件ほど司法界のヤミを感じさせるものはない。総聯側の代理人が元日 弁連会長で、この2人の間で事が運ばれ、その間に総聯側から数億という多額の金が手数料名目で支払われていたというのも驚く。司法界の大物が全て正義の味 方や倫理すぐれた人材であるとは必ずしも思わないが、一種の地位利用ともいうべき利権行為があたかも正義の味方面で行われたわけである。最近とみに目立つ 司法界の腐敗やウラ社会的行為の横行にこの国の将来を憂うるのは筆者のみではあるまい。ひょっとすると従来からあったことが偶然表に出たに過ぎないのかも しれないが、この種の事に手を出そうと試みただけで、犯罪者というより人格破綻者であり、このような人物に地方高検検事長などという地位を与えてきた司法 界に不信が募っても致し方ないかもしれない。

しかも、緒方は、事が露見した時に、自らの人生経験から、在日朝鮮人の不幸な歴史にシンパシーを感じ、彼らの人権を守る拠点としての中央本部建物の差し 押さえを防ごうとした、などと正義の味方面をしている。さすが特捜は、この大先輩の大ウソに自らの危機感を感じたのか、これを見破って逮捕に踏み切った。 何のことはない。真実は、大借金を抱えているとされる元大検事の詐欺のお芝居という大茶番劇なのである。起訴後の裁判が真実を明らかにしようが、不起訴処 分やうやむやのうち
に終わることのないよう望む。

しかし、このような人物が動いたさらに背後にもっと大きなヤミの勢力が動いたのではないか、という疑いも依然として残る。それは、政界の大物で、現在政 治の本流にない者が、時に北朝鮮の拉致事件解決や国交交渉打開の緒口を開くなどといって自己の政治的利害で動くとか、外務省関連のウラの勢力が北朝鮮に恩 を売るために動くといったウラ社会の動きの一環が内部対立や謀事の破綻から露呈したとも勘ぐられる。

いずれにしても、最近の司法界には、かつて検察の世界にあった者がヤメ検として弁護士や事業の世界に転職して思わしくない行動が露呈される事例が多い。 また、他方で、山口県光市の母子殺人事件での最高裁による差し戻し裁判で、死刑反対の21人にも及ぶ大弁護団が、カルトまがいの弁護論を展開している。オ ウム真理教の麻原こと松本被告弁護で弁護団が徹底した裁判引き延ばし作戦をとったのとよく似ているが、庶民の常識の上に成立すべき弁護の論理を、一審にお けるあらゆる証拠とは無関係の不可解でオカルト的な論理で殺人を正当化するような弁護にすり替えて、それで死刑反対という政治闘争を法廷で展開しているの である。司法界はもともとマジョリティとしての庶民が不当と感じていることを総体として代弁する立場に立つべきものであり、それに反旗をひるがえして不当 を正当に置き替えようと意図するなら、いずれ庶民が司法界を否定せざるをえなくなるであろう。司法界が権力を背景にしていることによって思い上がりを強め るなら、それは司法自身の破綻を招くという古今の当然の摂理をわきまえ戒めるべきである。(伴)


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