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【2020年5/6月号】武漢ウイルスとマスク狂騒曲への 適応力の強化が望まれる

本誌の別稿で述べているように、新型コロナウイルス感染症は、今年初めから最近に至るわが国の一大事件であったが、その影響下で起こった事件の一つは、マスク購入競争に人々が巻き込まれたことであった。中国湖北省武漢市を発生源にした伝染性疾患や新型コロナウイルスの流行が中国を揺さぶり、新型コロナウイルスの集団感染が起きた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に至り、その停泊中にその乗客が下船することにかかわってウイルスの蔓延がわが国にも及ぶという社会的事件にも発展した。その結果、一般的には特にかかわりのない武漢という名称が一躍有名になったという経緯がある。わが国では旧来から、風邪やインフルエンザにかかるとマスクを愛用する傾向が強いが、それに加えて、この新型コロナウイルスへの対策のために、急速にマスクの需要が進んで市場の逼迫を招いたものである。  

新型コロナウイルスの流行が中国武漢市に発したこと、それがわが国に及んでさらに蔓延したこと、そしてわが国では風邪などにはマスクが最も直接に愛用される傾向とあいまって、ウイルス対策のためのマスク需要が逼迫したものの、新型コロナウイルスの蔓延が急速なために、在庫不足や流通経路での混乱が生じてバッシングが起こることとなった。ところで、わが国におけるマスクの通常の供給源は中国からの輸入に依存しており、これもまた急速な需給のバランス同様に、問題に直面するに至ったものといえよう。  

新型コロナウイルスもやや沈静化し、マスクの需給逼迫もやや緩和してきたが、第2波、第3波が来るという意見もあり、これらもいつまた緊張感が高まるかは予測困難である。これらへの対応力を養いつつ、慎重に適応力を強めていく必要があろう。 (会長・板東 慧)  

 


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