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【2018年7月号】少子高齢化の進展と労働市場の将来

2016年に出生数が前年度より減少して100万人を割り、 若干の前後はあるが、その後も低下傾向が進んでおり、出 生率の低下傾向が進んでいる。これは、戦後一貫して続い てきた出生率の毎年の増加傾向に終止符が打たれることと なり、少子高齢化が動かしがたいトレンドとなったことを示す。 少子高齢化とは、図に示せば三角形を示していた年次別 の出生率が壺型のように変形することで、先細りのような変 形もあり得る。

今後も含めて考えれば、若者の雇用が減少し、高齢雇用 が進むことを意味する。60歳以上はいうまでもなく、70・80 歳以上の雇用も増加するし、しかも女性高齢者雇用も進む ことは明らかで、最近「人生100歳時代」といった表現も出 ている。高齢者雇用が進むこと自体はマイナスとはいえない し、新しい社会現象になるわけだが、しかし、これは職業訓 練や技能習得、さらに労働現場の秩序変更から家庭におけ る生活のあり方の変動をもたらす。さらに生活条件や生活 構造に変化をもたらし、ライフスタイルの激変をもたらす可能 性がある。それが産業構造やシステム転換をもたらし、法制 の転換を含む社会変動をもたらすであろう。

たとえば、生涯雇用システム・年功制などを揺るがし、長期 雇用システムや技能形成・就業システムの変動をもたらす。 これはAIの普及とあいまって制度上の変化をもたらすこと になる。

このような変化は産業・雇用構造の変化をもたらし、労使 関係にも新たな変化をもたらす。仮にこのような変化に対応 できず、従来の刊行を維持するために強引な措置を取ろう とすれば、いびつな形態での解決となり、発展はみられない ばかりではなく、破綻を招くことになるであろう。

この意味で、寿命の延長と雇用維持、そしてライフスタイル の変化は新たな生活構造の変化であり、労使関係の前提 の変化としてとらえ、その対応を新たに模索すべき課題と言 える。            

(会長・板東 慧)


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