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【2018年2月号】働き方改革をめぐって

「働き方改革」が政府も労働界でも議論になっている。政 府は生産性政策を掲げ、設備投資や人材投資を促してい る。

「働き方改革」としてわが国で重要な問題は、以前にも指摘した通り、労働時間の規制であると筆者は考える。「労働 時間短縮」はもとより最も重要であるが、わが国の場合は、 労働時間が短縮されても依然として「ダラダラな労働時間 延長の規制」が重要である。それを前提として初めて多様な働き方の進展が課題となる。

そこで働き方改革の主要課題は、「テレワーク=在宅勤務」だということが最近指摘されている。総務省の16年度の調査によると、「テレワーク導入企業の労働生産性は、導入していない企業の1.6倍」になるという。またスタンフォード大学が中国旅行会社のコールセン ター16,000人対象に9カ月間かけた調査では、テレワー クはオフィスワークよりも13%仕事のパフォーマンスが上 がったという(日本経済新聞2017年11月20日朝刊)。

また在宅では、通勤の肉体的・時間的負担がなくせると効果があるとも指摘されている。この意味で働き方改革の主 要議題は、「テレワークの導入」とも言われるのである。

ただ、テレワークは、同僚との会話やコミュニケーションに欠けるために働き手が不安に陥ったり孤独病にかかる可能性 があるという問題点が指摘されている。この意味で、「働き方改革」は生産性向上の可能性をもっており、重要な課題と いわれており、「柔軟な働き方の進化」は今後の労使の課題といわれ、現代直面する改革の一つになっている。

わが国の場合、総じて画一的・硬直的で「働き方の改革」 が進んでいないので緊急の課題といえる。労使ともにこの点は遅れていると言ってよい。

「在宅勤務」や「適地勤務」など柔軟性を高めることが、 労働時間の柔軟な運用と共に今日の労使関係の重要な課題といえる。

「働き方改革」はこの意味で、わが国にとってますます重視すべき問題といえよう。
(会長・板東 慧)


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