本サイトへ戻る
カテゴリー一覧

【2015年9月号】戦後70年をめぐって

戦後70年というのは確かに1つのエポックではある。戦後体制というものが定着して成熟に至ったという意味である。 あえて次の段階というのは戦後100年ということになるだろうか、その意味でも区切りとしての意味をもつだろう。

戦後わが国政治を主導してきた自民党単独政権が崩壊し自社さ連立政権が成立した戦後50年、社会党の村山委 員長が首相となったがそのエポックメイキングな事態で「村山首相談話」が発せられ、内外に対して「戦後総括」が行われその主題が「我が国の過去における植民地主義の反省とその影響によるアジア各国などへのお詫び」にあったとして、戦後60年には時の小泉首相がこれを踏襲した談話を発表した。このような歴史を継いで、70年の安倍首相には国内外でこれを踏襲した談話を求める動きが強まった。韓国でそれが強く、中国でも注目する傾向が強まった。わが国のマスコミもその傾向を強めた。70年談話として安倍首相はこれらを踏襲しつつ未来志向を強める意図を示したが、結果はその特徴を出せずに踏襲に力点が置かれ、結果としては 繰り返しの多いやや冗長なものとなった。確かに韓国・中国から異論は出ていないが、わが国の内部から見れば不満もあるとみられる。

それは、わが国経済は順調で他国と比較しても好況の中にあるが、東芝・東洋ゴムに象徴される巨大企業のモラルハザードなど経営・経済システムの疲労や教育改革の必要性など、70年問題として総括し、今後のわが国の発展にかかわる問題点も多い。村山元首相などは安倍談話を村山談話と比較して批判する談話を発表していたが、やや自己中心的とみられる。もっと現状を直視して未来に向かう発想をもつべきではないか。
( 会長・板東 慧)


地球儀 の他の最新記事