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組合活動事例紹介:ビックカメラ労働組合(2012)

 「組合関与・組合評価BEST10」の組合関与においてランクインされている組織のユニオン・リーダーに、現状における組合活動の事例を直接お伺いすることができました。ここでは、ご許可いただきました内容を広く公開させていただき、個々の組合員がメンバーとして関与できる組合活動の展開の参考にしていただきたいと考えています。

岩見 信一郎中央執行委員長にお話を伺いました。

Q:組合員の関与について、どのような実感がありますか。

2004年の労組結成以降、徐々にではありますが、組織の存在や活動内容に対する認知度は高まっていると思います。ON・I・ON2調査時(2008年)は、「組合=レクリエーションを行う組織」というイメージが組合員の中に強かったのではないかと思いますが、これは組合員を労働組合の活動に巻き込んでいく上でとても有意義な活動であり、この様な認知度を高める活動に精力的に取り組んで来た事が、現在の活動の礎になっていると思います。

Qベスト10にランクインしたことに対して一言お願いします。

驚いていますが、光栄です。


運動方針や関与型の取り組みについて

Q:労働組合の運動方針、問題意識、大切にしていることを教えてください。

組合員の生活向上を実現するための手段として、「労使交渉」「相互扶助」「政策制度要求」の3本の柱を軸に活動しています。その中で、成果を上げるためには組合員同士の「団結力」が必要不可欠だと思っています。組合役員同士の意思疎通はもちろんですが、組合員との結びつき、コミュニケーションも同様に重視しています。組合役員には同世代(30代前後)も多く、議論をする際は「みんなで決める」という雰囲気を大切にしており、自分の意見を言い易く、周囲の意見も取り入れ易い風土を醸成しています。

ビックカメラ労働組合は、店舗の立地上、関東に支部が多く集まっている(全14支部中、8支部が関東)ため、組合員や組合役員とのコミュニケーションがとり易いと感じています。関東以外の支部にも職場集会の開催などを通じて年間4~5回は必ず訪問しており、支部の役員から、専従者の顔が良く見える様に心がけています。

この、支部の組合役員のモチベーションをいかに高めるかが大事だと思っています。組合員に活動参画を呼びかける際、普段、直接組合員と接している支部の組合役員が軸になる訳ですから、彼ら・彼女らが組織運営のカギだと考えています。

Q:組合員の関与アップに向けた現在の取り組みには、どのようなものがありますか。

現在、地域別で14の支部を設けており、それぞれの支部が独自に実施する「支部活動」に力を入れています。支部では、毎月1回支部会議を行っています。この会議において最も重要な議題は、支部の年間活動方針に基づく支部活動の計画です。定期大会を開催したのち、支部ごとに大会を開催し、支部の役員が主体的に計画した支部の年間活動方針を決定しています。支部活動の中で反響が大きかったものとして、池袋地区の支部が計画した「情報交換会」が挙げられます。これは、支部の組合役員が主導で行う職場集会です。職場内外の問題に踏み込んだテーマを支部独自に決め、グループに分かれて議論します。この活動が一つの成功体験となり、組合活動の面白みを知った支部の組合役員に自信が付いてきている様に感じます。


ON・I・ON2への参画について
Q:関与の問題に切り込むに当たり、ON・I・ON2調査を実施した単組の背景についてお聞かせください。

「共同調査」という点に共感しました。さらに、組合員と一緒に活動していく、「参加関与型の運動」を志向しているという点にも共感でき、参加を決めました。組合員が労働組合の活動を自分たちの事として考えて自主的に参加しているのと、"やらされている"のとでは、同じ活動でも結果に大きな違いが生じると感じます。 


Q:最後に、労働組合として考える今後の課題、目指す方向、取り組みたいことについてお聞かせください。

組合の認知度が徐々に高まる中、労働条件の向上について、益々充実した取り組みをしていきたいと考えています。弊労組の組合員は、自身の労働条件(賃金制度・労働時間・人事制度など)をよく理解しているとはまだまだ言えないと感じます。産別や友好労組様と情報交換を密にし、社会水準や業界水準との格差についても、もっと知って欲しいと思っています。そして、一緒に考えていきたいと思っています。

会社への関与、働きがいについても問題意識をもっています。会社としては、もともと現場第一主義ですが、効率化が進み、自身の職場(売り場)で思い通りにならないことも多く出てきていると感じます。誰かに与えられるのを待つのではなく、「自分たちにできる事は何か」を追求し、働きがいを高め、生産性の向上に寄与していきたいと思います。

その点、組合活動では、自分たちの実現したい事が提案でき、仲間と一緒に実現できる。この点に面白さを感じている組合員も多いのではないかと感じています。「関与」「主体性」をキーワードに今後も運動を展開していきたいと考えております。


ご協力いただきありがとうございました。

 


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