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【2012年8月号】政局にとって新味も広がりもない小沢新党

民主党が分裂して、小沢新党─「国民の生活が第一」党 が発足した。何とも変わった党名で、もともと小沢党首が民 主党に付けた党の基本スローガンで、民主党が現に使用し ているものだ。小沢はよほどこれが気にいっているのか、ある いは新党には新しいアイディアがなかったのか。それ以上に いくら気にいっているとはいえ、自分の所属していた党のもの と同じものを新たに使用するというのも何かいやらしさを感じ るし、その決め方も、すべて小沢一任で決めたので、「小沢」 私党の性格が強い感がある。

小沢は、確かに力量のある政 治家ではあるが、「壊し屋」といわれるように、「新党をつくっ ては壊すこと」3度で、成果は何も残っていない。自由党を 「党の純化」としながら壊して、より大きな民主党に合同し て、幹事長・党首を経て前回の総選挙で民主党を飛躍的 に伸ばしたが、結局、政治家としては私的な金銭問題の疑 いで傷つき、今日に至った。民主党では、党の責任的地位に ありながら、党の綱領さえまとめず、財政的に可能だとしてバ ラマキのマニフェストをつくるなど、鳩山・菅と云う政治信条も 政治能力も疑われる党代表とトロイカを組んで、折角の政権 交代のチャンスを生かせず、民主党をミスリードして、「消費 増税」の党内論議に積極的に参加せず、決まってからはマ ニフェスト違反として修正を要求し、受け入れられないとして 民主党から分裂した。民主的な手続きで一貫しているとはい えない。民主党の各リーダー達にも責任はあるが、成功例は 自らのもの、失敗例は自らの責任外とする手前勝手な傾向 で、その手法はかなり不信をかっている。

野田政権はすでにこの欄で指摘してきたように、やや腰の 定まらぬ傾向で、何を目指しているかが明確でなかったが、 自公との3者協議によって消費増税への道を開き、TPP 参加への積極化、集団安全保障を含む新たな防衛政策へ の志向など、次第にその立場を一貫させてきて、従来の民 主党政権のあいまいさを克服し、それが自公との連携を強め ることとなり、その結果分裂による小沢新党と鳩山派の抵抗 を招いたが、それはもともとバラバラ民主党が政権党として 路線を明確にしようとした結果といえるかもしれない。

最近の世論調査(共同通信7月14〜15日)によると、内閣 支持率は28.1%・不支持率60.0%となり、衆議院解散・総 選挙の時期は「出来る限り早く」が36.8%とトップとなり、次 の衆院戦後の政権については、「政界再編による新たな枠 組みによる政権」が38.8%とトップとなっている。ただ、小沢 新党については「期待していない」81.8%、で、小沢新党が 提携を求めようとする大阪・名古屋等の地域政党はもとより その他の野党も提携の動きがない。大阪維新の橋下市長 は最近、野田首相の政治行動を高く評価する等、従来と異 なった発言をしていることが注目される。いずれにしても、民 主党政権を経た後、政局についての国民の関心は従来と 異なった新たな動きをしつつあるようだ。 (伴)


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