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【2009年11/12月号】甘さとダッチロールが気になる鳩山政権に厳しさと自己点検を望む

鳩山内閣が成立して2カ月余を経た。前回にもこのコーナーで書いたように、本格的な政権交代の効果は抜群で、政権が打ち出す新機軸には目を見張るものがある。さらに、新閣僚の行動にも新鮮さがあり、国民の期待もその点にあったといえる。

しかし、難点もまた多い。まず、閣僚が重要問題について公然と異なる見解を表明している。これは民主的でよいといえないこともないが、余りにもばらばら で閣内不一致をさらけ出し、鳩山首相への収斂性のなさ、首相の指導力のなさがめだつ。各閣僚は「いずれ首相が決断する」と言い、首相も「私がいずれ決断す る」言って、とお互いにかばい合っているが、その気配が見えてこないから、その政策に関係を有する国民にとってはとくに不安が募る。それが、明らかに内閣 支持率の低下となって表れつつある。まだ「若葉マーク」をつけた内閣として国民が許容している期間ではあるが、そのうちに明確な形で問題として立ち現れて くることは疑いない。しかも連立によるぎくしゃくさも目につく。

また、行政刷新会議が行政の各項について、公開の議論で点検していることは画期的であり国民の支持もかなり得られているが、新人議員を無条件画一的に排 除しているのは新人議員の並び大名化である。しかも、最初の問題点の指摘は財務省主計局が主導権を握っており、藤井財務相が「査定はあくまで財務省でや る」と強弁しているのを見ると、行政刷新会議の結論はあくまで参考意見であり、最終的には財務省主導であることに変わりはないことになる。そのうえ、各省 の副大臣級には確実に財務省出身者が配置されており、首相答弁の下書きも当初官僚は排除するとしていたにもかかわらず、何時の間にか官僚の主導となった。

さらに沖縄の米軍基地問題は、県外・国外移転を首相が強調し、外相はすでに繰り返し困難とされてきた嘉手納併合の検証に固執して、沖縄県民の普天間危険 説を重視しない傾向さえ見られる。もともと13年もかかっているこの問題に野党時代に反対を唱えながら、野党の案として切実に検討してこなかった民主党の 野党時代の怠慢の結果が今顕わになっているわけで、民主党の55年体制からの脱却が不十分であったことが如実に出ているといって過言ではない。鳩山首相以 下閣僚から、赤字財政や過去の自民党政策の責任を問う発言がしばしばあるが、元々分かっていてこの難局を引き受けたからには潔く自己の責任を全うすべきで ある。ことあるごとに甘えとダッチロールが見られるこの政権も、自己責任を明確にする厳しさが求められる段階に入ってくる。健闘を祈る。(伴)


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