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【2009年10月号】この政権交代をどう見るか

戦後初め てともいうべき2大政党下の本格的政権交代で、民主党政権が成立した。政権交代で、従来の政権と官僚の関係から秘匿されていた問題点が明るみに出て削り落 される効果が期待され、マンネリに陥って実施困難とされてきたものが、新しい観点から実行される条件が整うのは画期的である。

しかし、民主党の中堅議員の多くが、「300余の議席は取り過ぎでこわい」と言い、マスコミの世論調査の多くで「国民が民主党を支持したというより、自 民党に嫌気がさした」との意見が半数前後に上っているように、選挙結果の持つ意味はやや複雑である。民主党のマニフェストは多くの国民にとってアトラク ティヴではあるが、野党の多くがそうであるように、いざ実行ということになればかなりの甘さを有するポピュリズムが含まれている。それを早急に実現するこ とには相当の困難が伴われるであろうし、実行にあたっての体制が問われることになる。ともかく、その目玉とする子供世帯への手当や保育などの政策と官僚体 制打破・天下り全廃や公務員定数・給与削減などの政策を早急に実行して成果を示せるかどうかが問われる。高速道路無料化などはかなり産業間調整や財政措置 を伴うので時間がかかろうが、誠実な行政努力を必要としよう。

政務・党務の執行にあたっては、すでに言われているように小沢幹事長がどれだけ内部調和に心がけるか、皆がそう仕向けるか、にかかる。民主党の中にあっ て自民党旧派閥らしきものは小沢派のみになる。来年の参議院選挙後に小沢派は200人に達して党内党になる可能性があり、小沢代表=首相が実現するかも知 れぬ。それもよいし、実力のしからしめるところを否定するものではないが、問題点は小沢氏の独善的ビヘイビアと政治目的や国家像が明確でないことが、世間 一般でもマスコミでも不安がられていることである。これが民主党分裂や政権崩壊を招くかもしれないとの危惧があり、要注意であろう。

さて、2大政党制の到来と先に述べたが、果たしてそうなのか。問題は自民党の今後にある。もとより、自民党の敗北が衆議院議席119というドラスティッ クなものだったために、立ち直れるかどうか、という課題もある。初めての経験であるために、その政治的ショックが大きくてもやむをえないかもしれないが、 政権交代は民主主義国家にとっては当然予想されるべき事態である。一般に、政権交代はアメリカだと8年、イギリスではさらに時間がかかっている。党の総裁 選出=総理選出であり、常に大臣が目の前にある議員活動と離れて、自民党がこの初めての体験に長期に耐えられるかどうか。それがなければ2大政党制は夢と 消える。同時に、魑魅魍魎が跋扈して世代交代もできない自民党なら次代の保証はない。まさしく新しいスタートなのである。(伴)


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