本サイトへ戻る
カテゴリー一覧

【2006年5/6月号】韓国・中国の反日傾向には冷静・厳格な対応を

韓国・盧 武鉉大統領のダッチロール(激しい横揺れ)が目に余ってきた。当初は、金大中の後継としての太陽政策の功をあせる程度に見られたが、最近の状況は断末魔の ような混迷を呈しているといっても過言ではない。盧武鉉の政治スタイルについては、本誌940号(04年5/6月)の拙稿でも明らかにしたが、要するに、 国民を日本敵視にあおりたてて、10%台に低迷する支持率の下で、何とか求心力を維持しようとしていることにあり、その方法は排外ナショナリズムの昂揚に ある。しかし、その中身は、竹島問題にしても靖国参拝問題にしても、歴史認識はかなりのこじつけや手前勝手な歪曲になっている。

隣国同士が歴史的行きがかりや歴史認識の相違によって対立したりいがみあうことが国際関係上避けられないことは、歴史の示すところであり、相手の「非」 だけをなじることによっては解決せず、かえって政府間の対立を国民間の対立にエスカレートさせる可能性がある。欧州の場合には、過去2000年間戦乱の絶 えたことがなく、今は落着いているように見えるスカンジナヴィア3国でも1世紀前までは、相互に侵略と虐殺が絶えなかった。第2次大戦後初めて独仏協調や EUへの志向が生まれたのである。

一般に民族独立前後や経済発展困窮時代にナショナリズムが昂揚するのには歴史的必然があるが、経済の高成長過程ではそれを維持発展させるためにむしろ国 際協調が図られるのが一般的である。ところが、韓国・中国の最近の傾向は、これと逆行しており、その背後には、別の条件があると考えざるを得ない。それは 何か。1つは覇権主義であり、もう1つは内政の指導力衰退を排外主義によって糊塗する、その何れかか、両方であろう。

盧武鉉の場合、明かにその両者であり、指導力の衰退を反日にすり替える意図と、北朝鮮にすりよって南北統合に向かうためのナショナリズムの扇動が見られ る。南北統合は韓国民の悲願ではあるが、北朝鮮というテロリズム体制を容認したまま、南北協調したり、北に経済援助するのは、金正日体制の補強に過ぎない 可能性がある。盧武鉉政府部内には南北統合派というより北の政府と内通するグループが増加しているといわれ、北の核開発は将来統合する際のプラスになると 高言する者さえいるといわれる。金大中の前回の北訪問の際に5億円程度の持参金をウラで用意した現代企業のトップの行動がばれて自殺したという問題も解決 していない。反共で培われてきた50歳代以上や軍隊がまき返す可能性も大きい。これに対して、わが国は冷静かつ的確な判断で、厳格に対抗する必要がある。 言わんや、彼らの言い分に便乗する発言は戒めねばならない。

さて、中国の反日傾向もこれと変わらない。教科書問題で事実でもない「侵略」用語問題などでぺこぺこ頭を下げた宮沢や河野、利権問題も含めて中国に追随 してきた経世会の一部幹部や外務省チャイナスクールなどによる外交上のマイナスを挽回するためにも、既に謝罪段階は終わったものとして、歴史認識を含め堂 々たる長期的な説得力を形成すべきであり、この場合も、すぐに相手の言動に便乗する「良い子」気取りを戒めねばならない。特にマスコミや政治家の一部にあ りがちな「尻尾振り」は反省すべきであろう。(伴)


地球儀 の他の最新記事