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【2005年10月号】「日本を、あきらめない」―岡田民主と「改革を止めるな」―小泉自民の差が物語るもの

第44回衆院総選挙は予想通り自民の圧勝に終わった。民主は惨憺たるものである。

この落差は何か。筆者はリーダーの時代認識の差だと見る。「小泉の催眠術」「小泉劇場」など民主党のトップは半分茶化し半分自嘲気味の捨て台詞をはい た。しかし、政策の争いが基本とはいえ、もともと熱狂や興奮、劇場性や催眠性も伴わない選挙を望むとしたら自己欺瞞である。岡田民主は、今回の選挙にあ たって、小泉自民の設定した郵政改革という枠組みから逃避することばかり考えてこの劇場から撤退してしまったのである。それは何故か。年金改革において も、郵政改革においても、民主は与党に先んじて改革の政策大綱を掲げて真っ向から対決するべきなのに、それを避けて国会審議の引き延ばしに終始して、最後 のぎりぎりになっておざなりの案を出してお茶を濁してきた。その背景には、党内外の力学で政策をまとめきれないことがある。結果として、議会では郵政改革 に反対しながら、選挙に入ると「改革に反対ではなく法律に反対」等とわけのわからない説明に陥った。野党第1党という地位から見ると、明らかに議会闘争不 足の結果に他ならない。結果的には自民の造反派と同じ立場をとったことになる。

ところが、議会闘争不足にもかかわらず、国会が解散されると、解散を責めるより、「むしろ歓迎」の立場をとり、突如「今次選挙で単独政権奪取」を掲げ た。前回選挙で躍進したとはいえ、選挙にはゆり戻しもあり、今次選挙でさらに70議席の上積みは常識では困難と思えたが、連立案も示さなかった。このよう な国会闘争と政策の不十分の上に、議席の大幅増による政権奪取を掲げるのはいかにも無理があった。しかも、岡田党首ご自慢のマニフェストも、この前に掲げ た高速道路無料化や年金一元化についても余りにも杜撰で、説明不足である。

他方、改革は過去4年、未だ十分ではないとしても、景気・株価・雇用は回復し、明るさは見えたし、規制撤廃・公社公団改革はすすみ、郵政改革本丸に着手 し、それ以上に自民の利権派閥の解体がすすみ、金権は大幅に減少した。首相周辺に従来のような金権のにおいはない。しかも自民派閥選挙利権の最大の郵政族 の解体がすすみ、今までなら国会決議の党紀違反でもマアマアで曖昧にしてきた悪習を断固断ち切り、わかりやすい党運営を鮮明にした自民党の改革がすすんで いることは明確である。これとの対比で見ると、むしろ民主は改革がすすまず、党としてのまとまりに欠けるように選挙民の目に映る。このように明確に変わっ ていく小泉改革に対して、「何も変わらず悪くなるばかり」とする民主岡田の評価こそ選挙民から見て違和感があるのではないか。いわんや岡田民主の「日本 を、あきらめない」のスローガンは、大多数の庶民にとっては薄暗く、岡田の独りよがりに聞こえるはずである。この暗さに対して、「改革を止めるな」という 小泉自民の積極姿勢が情勢認識において勝ったことは明らかであろう。政権奪取を求めるならば、明るく攻撃的でなければなるまい。民主党よ何処へ行 く。(伴)


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