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【2005年9月号】新しい政党関係を予測させる選挙

国会が解散され、「郵政改革選挙」に突入した。かなり強引とも見える小泉手法について、野党各党も自民の反小泉勢力も非難の声は高いが、ほとんど有効な反論となっていない。

もともと民主の場合、方法論に相違があるにしても、郵政民営化主張が党内でも多数派を占めるはずなのに、JPU(旧全逓)など支持母体に遠慮して明確な 対案を出さず、民営化反対であるかのような態度に終始したという戦略的誤りを犯してきた。その結果、選挙にあたって対決点を明確に出来ず、自民が争点を郵 政に絞ったことを非難するという負い目をおっており、しかも政党は政策で闘うべきだという民主の主張では、まさに、党の政策に反対して党議拘束に違反した 反対者に厳正に対処した自民党本部を非難できないことになる。

他方、自民党の反対派は、従来の自民党なら曖昧にしてきたマアマア主義や派閥取引慣行などウラ社会的な習慣に依存して、小泉がそれら自民党の持つ体質を 当初より口酸っぱく粉砕の対象としてきたことを忘れたか軽視してきた結果、反論ができない。国民一般が何らかの制裁があるのは当然と見ていたのに、反対票 を投じた議員達が、その責任を従来同様にマアマアでうやむやにすごせると思っていたというのは何というノー天気か、それだけでも政治家失格と言わざるを得 ない。

さて、このような庶民感覚は、明らかにその後のマスコミの世論調査に表れている。小泉内閣支持率47%(7月前回調査より4%増)、首相支持47%・反 対派支持35%、自民主導政権支持48%・民主主導政権支持32%、解散賛成53%・反対33%、政党支持率自民45%・民主20%(日本経済新聞社調 査、8月11日朝刊)となっており、他の新聞社調査でもこれに近い数値になっていると共に、さらなる支持率の上昇の可能性が高い。この状況は、今後変化し ていくと見られるが、小泉首相の敷いた路線ともいうべき郵政民営化をシングルイッシューとした論争となり、マスコミの論調も「民営化賛成」に傾いている。

かりに、小泉内閣の総括を焦点に置いたとしても、改革途上で多くの点において未だしであるとしても、不良資産処理による景気回復の確定と株式市場の活性 化・公共投資利権体質の克服・公社公団の民営化等の当初掲げたテーマは解決に向かっており、自民党派閥の解体・利権体質の克服もすすみ、その結果がこの解 散に如実に示されている。外交面では、対米関係は良好、拉致問題も前進したし、防衛問題についても、従来の曖昧さを一歩抜けたことは明らかである。日中・ 日韓・日朝でのいざこざはあるが、むしろネオナショナリズム時代の新しい地平を超える段階の新たな関係をめぐる課題であって、従来の低頭外交からの脱出過 程の痛みと見るべき問題である。

この意味で新たな課題に向かう選挙として、従来の状況から一歩抜け出すという争いと見るべきで、国民一般はむしろこれを率直に受け入れているといってよいだろう。(伴)


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