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【2005年1月号】2005年―「普通の国」への転換の年―

2005年が明けた。最近の国内外の動きを見ていると、今年は21世紀前半の世界とわが国の進路を決定する重要な年になりそうだ。

例えば、わが国にとって、04年にイラク派兵など自衛隊の海外派遣が実施されたのに続いて、今年は、国連安保理常任理事国入り、憲法改正法案の議会提出 など、従来、ほとんど実現可能性がほど遠いと思われてきた政治的ハードルが一挙に低くなる可能性が見えてくる年になりそうであり、いわゆる「普通の国」へ の転換が決定的になる可能性がある。と思って、2005年という年を再確認してみると、1945年=第2次大戦終了の年から数えて60年に当たる。ヒトの 寿命でいえば還暦に達して大きな曲がり角に達したといえる。

これに対して、グローバルな視野から見ると、EUが成立して10年余、拡大EUが中・東欧の旧社会主義圏および全欧州からトルコに拡大する段階に達し、 NAFTAから全米機構への拡大がうかがわれ、さらに東アジア共同体構想が具体化し始める。いずれも201020年の実現が展望されることになる。

この意味で、2005年という年は決定的になりそうである。このことは、次のことを想起させる。かつて、わが国の植民地主義という問題性があったとはい え、日本海や東シナ海は日本人にとって大陸との間のキャナル(運河)のようなもので、人々は気易く往来していた。しかし、戦後50年近くは冷戦体制によっ て、これらの海は一種の「断絶の海」となり、「拉致」の媒体ともなった「恐怖の海」となった。しかし、ようやく戦後60年にして、「拉致」は暴露され、韓 国で日本文化が開放されて人的・文化的交流が密になり、日本からの旅行者だけでなく、中国からも大量の留学生が渡航し、2005年は、密入国ではなく、大 量の観光旅行者が本格的に渡航する年となりそうである。

戦後60年にして、ようやく、わが国はアジア太平洋国家として、開かれたアジア共同体への営みを積極的に開始しうる条件を整えたといってよい。

わが国の「普通の国」への転換を決定づける年として2005年は、わが国に漂よってきた「第2次大戦後遺症」としての「縮み志向」超克の年になり得るか。(伴)


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